「ご多忙の折」の意味とは?
あなたは「ご多忙の折」という言葉の意味を知っていますか?「ご多忙の折」はビジネスシーンやビジネスメールでよく使われる言葉です。「ご多忙の折」の意味を知らなければ、どういった使い方をしたらいいかがわからなくなります。「ご多忙の折」の意味を知っておきましょう。
また「ご多忙の折」の意味を知ると、類語や英語表現が知りたくなります。類語を知ることで、日本語の表現力が広がります。それは英語にも言えるのではないでしょうか?よく知らない言葉や、うろ覚えの言葉の意味を知り、英語で表現できるようになると世界が広がります。
英語で「ご多忙の折」の使い方を知ると、英語圏の人との話に膨らみが出ます。英語圏の人とビジネスで関わる人も増えてきています。英語表現の幅を広げるためにも、「ご多忙の折」の英語表現を覚えていきましょう。
「ご多忙の折」は依頼する時の前置き
「ご多忙の折」はどういう読み方をするのでしょうか?「ご多忙の折」は「ごたぼうのおり」と読みます。次に意味を見ていきましょう。「ご多忙の折」は「ご多忙」と「~の折」という言葉からできています。「ご多忙」は「多忙」の丁寧語です。意味は「非常に忙しいこと」です。
「ご多忙」は何かと忙しくしている様子を表わしています。次に「~の折」について見ていきましょう。「~の折」は、「過ぎていく時間の中で区切られたある瞬間や機会」という意味があります。つまり、時間を指し示すものとしての使い方をする言葉です。
「~のところ」「~の時節」「~の時」といった意味になります。「ご多忙の折」はビジネスメールで頻繁に使われています。何かものを頼む時、依頼する内容の前に置く、クッションの役目をする言葉です。また、お礼をする場合に使う使い方もします。
メールの中で「ご多忙の折」と前置きして、その後にビジネスでの依頼や要望を述べるのが一般的な使い方です。「ご多忙の折」は尊敬語です。上司や取引先の相手へのメールに使いますが、会社の同僚や部下といった対等の立場や目下の人間へのメールにも使うことができます。
「ご多忙の折」を使うことで、何かしてくれたことに対してお礼を言う時、感謝の気持ちを伝えることができます。ただ「ありがとうございました」と言うだけでは味気ないものです。感謝の気持ちが伝わりにくいかもしれません。
そんな時、「ご多忙の折、ご尽力いただきまして、ありがとうございました」と具体的なお礼を伝えることができます。次に「ご多忙の折」を、相手に何かを依頼したい時に使う場合を考えてみましょう。ただ単に「よろしくお願いします」と言っただけでは、やはり物足りません。
あるいは一方的な押し付けに感じられる場合もあります。ここで「ご多忙の折」をつけて言ってみましょう。「ご多忙の折、大変恐縮ですが何卒宜しくお願い致します」といった使い方をすると、「忙しいところ申し訳ありませんが」と謙虚な気持ちを伝えることができます。
「ご多忙の折」の類語
「ご多忙の折」は「お忙しいの時なのに」という意味だということはわかりました。次に「ご多忙の折」の類語について見ていきましょう。「ご多忙の折」はいくつか、別の類語で言い換えることができます。どんな類語があり、どのような使い方をしていけばいいのでしょうか?
類語①「ご多忙の中」
「ご多忙の折」の類語の1つ目は、「ご多忙の中」というものです。読み方は「ごたぼうのなか」です。類語の「ご多忙の中」の「~の中」とは、「~の最中に」といった意味になります。類語の「ご多忙の中」とは、「お忙しい最中に」という意味です。例文を見ていきましょう。
「ご多忙の中、大変恐縮ではございますが、なにとぞよろしくお願いいたします」といった例文があります。これは依頼の意味になります。次に「ご多忙の中、対処していただき、誠にありがとうございました」という例文は、お礼の意味合いの使い方になります。
類語②「お忙しいところ」
「ご多忙の折」の類語の2つ目は、「お忙しいところ」というものです。類語の「お忙しいところ」にはどういったニュアンスがあるのでしょうか?相手に手間をかけてしまったり、時間を費やしてくれたことを申し訳なく思ったり、謙虚に感謝の気持ちを表現する類語です。
「お忙しいところ」は相手に負担になってしまうことをお願いする時や、質問の返答をしてくれと頼む時に使う言葉です。例文を見ていきましょう。まずは依頼の文章を紹介します。
「お忙しいところ恐縮ではありますが、ご確認のほどよろしくお願いいたします」といったものです。また感謝の気持ちを伝える例文として「お忙しいところ、まことにありがとうございます」といった言い方をすることもできます。
類語③「お手数をおかけしますが」
「ご多忙の折」の類語の3つ目は、「お手数をおかけしますが」というものです。あるいは「お手間を取らせますが」でも同じです。「お手数をおかけしますが」とは、「時間をさいていただいて申し訳ありませんが」という意味です。
「お手間を取らせますが」の「手間」とは「それをするのに費やされる時間や労力」のことです。「お手間を取らせますが」は、「お手数をおかけしますが」と同じく、「労力や時間を使わせてしまって申し訳ありませんが」という意味になります。
具体的に例文を見ていきましょう。「お手数をおかけしますが、資料をご覧の上、必要事項に記入をお願いいたします」というものがあります。また「お手間を取らせますが、よろしくお願い申し上げます」といったものがあります。
「ご多忙の折」の使い方・例文
ここまで「ご多忙の折」について、その意味と類語について見てきました。次に、具体的に「ご多忙の折」をどういう使い方をしたらいいかを見ていきましょう。「ご多忙の折」はビジネスメールで非常によく使われる言葉です。
メールで誰かにものを頼んだり、お礼を言ったりする時に使われる言葉です。ビジネスを進める上で、メールの書き方は非常に重要なポイントとなります。メールで相手に失礼に当たる言葉を使わないよう、例文を参考にしてみてください。
例文①「ご多忙の折ではございますが」
「ご多忙の折」の使い方の1つ目は、「ご多忙の折ではございますが」というものです。「ご多忙の折ではございますが」の意味は、「忙しい時ではございますが」になります。この「ございますが」は「ですが」を丁寧にした補助動詞です。「忙しい時ですが」を丁寧にした言葉です。
ここで注意したいのは、「ご多忙の折ではございますでしょうが」という言い回しです。この言い方だと、「ます」と「です」の2つの丁寧語が使われています。これは二重敬語と言って、誤りとなりますので気をつけましょう。それでは例文を見ていきましょう。
「ご多忙の折ではございますが、確認を怠ることのないようにどうぞうよろしくお願いいたいします」といった例文があります。また、「ご多忙の折ではございますが、今一度、ご確認をお願いしたく存じます」といった例文もあります。
例文②「ご多忙の折にもかかわらず」
「ご多忙の折」の使い方の2つ目は、「ご多忙の折にもかかわらず」というものです。この言い方の意味は「お忙しいのに関係なく」といったものです。「かかわらず」はどういった意味なのでしょうか?「かかわらず」は「かかわる」という言葉に、打ち消す言葉の「ず」をつけたものです。
「にもかかわらず」という言い方で、「~にも関係なく」という意味になります。この言葉をよく使った例文に、「ご多忙の折にもかかわらず、しっかり対応していただきありがとうございます」というお礼の言葉があります。
これはどういう意味かというと、「お忙しいにもかかわらず、しっかり対応してもらって感謝しています」といった意味になります。相手に何かをしっかり対応してもらった後、お礼を述べるようなシチュエーションでの使い方がされます。
メールなどの文面に加えて、あなたの感謝の気持ちを伝えましょう。また、別な例文でこんな言い回しもあります。「ご多忙の折にもかかわらず、ご教示いただき恐縮しております」や「ご多忙の折にもかかわらず、ご確認いただきありがとうございます」といったものもあります。
例文③「ご多忙の折とは存じますが」
「ご多忙の折」の使い方の3つ目は、「ご多忙の折とは存じますが」というものです。これはどういった意味なのでしょうか?「ご多忙の折とは存じますが」とは「お忙しいとは思いますが」といった意味になります。
「存じます」は「思います」の謙譲語「存じる」に、丁寧語の「ます」をつけた言い方です。「存じますが」とは「思いますが」の謙譲語になります。あなたが何かを頼みたい時、「ご多忙の折とは存じますが、お願い申し上げます」とメールなどで書いたとします。
これは「お忙しいとは思いますが、よろしくお願いします」を丁寧なお願いにした言い方です。例文を見ていきましょう。「ご多忙の折とは存じますが、〇日までにご返信をよろしくお願いいたします」というものです。
また「ご多忙の折とは存じますが、ご確認をいただけますと幸いでございます」といったものもあります。さらに「ご多忙の折とは存じますが、例の文書の作成方法について、ご教示お願いできますでしょうか?」といった例文もあります。
例文④「ご多忙の折、ご自愛ください」
「ご多忙の折」の使い方の4つ目は、「ご多忙の折、ご自愛ください」というものです。これはメールなどでよく使われる文章ですが、どういった意味なのでしょうか?これは「お忙しいとは思いますが、あなたの身体を大事にしてください」という意味での使い方をします。
よく使われる「ご自愛ください」を自信を持って使いたいものです。「ご自愛ください」は「あまり無理をしないでください」とか「健康で元気でいてください」といった意味になります。また「身体を大切にしてください」という使い方もします。
相手の健康を気遣う、ねぎらいの言葉です。難しく感じられる「ご自愛」という言葉は、すでに病気をしている人や、風邪をひいてしまっている人に対して使うことはできないので、注意が必要です。「自愛」の言葉に「お身体」という意味が含まれています。
したがって、「ご多忙の折、お身体をご自愛ください」という使い方は間違いとなるので気をつけましょう。例文としては「ご多忙の折、風邪など召されませんようご自愛ください」や「風邪など流行っているようなので、ご多忙の折とは存じますが、どうぞご自愛ください」となります。
「ご多忙」と「ご多用」の違い
「ご多忙の折」の具体的な使い方を、例文を合わせて見てきました。ここで、「ご多忙の折」の「ご多忙」によく似た、「ご多用」という言葉について考えてみましょう。「ご多忙」と同様に、「ご多用」は「ご多用の折」と使っているケースがあることを知っている人もいるでしょう。
「ご多用」は「ご多忙」とどう違うのでしょうか?「ご多用」は「ご多忙」の代わりに使うことができるのでしょうか?もし、使えるのだとしたら、なぜ「ご多忙」ではなく、「ご多用」を使うのでしょうか?そこに意味はあるのでしょうか?
「ご多忙」の「忙」は忌み言葉
まず「多用」の意味は「公私に関係なく忙しいこと、用事が多いこと」です。「多忙」は「あれこれ忙しいこと」です。「多用」より「多忙」のほうが、忙しいことを強調する言葉になります。
用事が多い「多用」が理由で、結果的にとても忙しい状況が「多忙」だということです。「ご多忙」と「ご多用」にはニュアンスの差があるものの、ビジネスシーンでメールなどに使う時は、違いはありません。「ご多忙」を使っても、「ご多用」を使っても、忙しさに変わりはありません。
しかし「ご多忙」の「忙」は「亡くなる」という意味が含まれ、縁起が悪い言葉です。おめでたい話題の時のメールや、挨拶状を書く時などには、「ご多忙」ではなく、「ご多用」を使うようにしましょう。また「お忙しい中」と別の言葉に言い換えましょう。
そのため、結婚式、出産祝い、お見舞いでメールを送ったり、年賀状を書く時など、「忙」の字は避けたほうがいいでしょう。逆にビジネスメールなどの場合は、「ご多忙」を使っても、まったく問題はありません。
「ご多忙の折」を使う際の注意点
「ご多忙の折」の使い方と、「ご多忙」と「ご多用」の違いについて見てきました。このように、「ご多用の折」には、使う上でいろいろと注意をしなければならない点があります。どういった点をに注意して、使っていったらいいのでしょうか?詳しく見ていきましょう。
暇な相手にも使うことができる
「ご多忙の折」を使う際の注意点の1つ目は、「ご多忙の折」というのは、暇な相手にも使えるということです。「ご多忙の折」というのは、「お忙しいとは思いますが」という意味ではありますが、相手への配慮を示す言葉として使われます。しかし、実際には暇な人にメールしても問題はありません。
メールを送る相手が暇そうだから、「ご多忙の折」を使えないと考える人もいるでしょう。実際に忙しがっている人には「ご多忙の折」を使ってもいいだろうという使い分けの必要はありません。相手が忙しかろうと暇であろうと、等しく使うことができます。
お願いだらけのビジネスでの心遣い
「ご多忙の折」を使う際の注意点の2つ目は、ビジネスはお願いだらけだということです。そのため、「ご多忙の折」を使うことで、心遣いを示すことができます。ビジネスは1人で行うものではありません。
社内の上司や同僚、取引先の人など、周囲に助けられながら行うものです。ビジネスメールは「お願い」の連続です。「お願い」ばかりしてくると、たとえ後でお礼のメールを送ったとしても、時にギクシャクしてしまうかもしれません。
しかし「ご多忙の折」を使うことで、「お願い」にも気遣いや心遣いを加えることができます。「ご多忙の折申し訳ありませんが」と使うと、メールを読んだ相手は、好感を持ってくれます。「ご多忙の折」を上手に利用して、好感度を上げましょう。
繰り返し使わない
「ご多忙の折」を使う際の注意点の3つ目は、繰り返し使わないというものです。ビジネスメールではすっかり定型文となっている「ご多忙の折」ですが、繰り返し使うのは止めましょう。「ご多忙の折、大変申し訳ございませんが」と何度もメールを送られてくるとどう思われるでしょうか?
「忙しいとわかっているのなら、一度で済ませて欲しい」と思われていまいがちです。何度も連絡しなければならない時は「ご多忙の折」を多用せず、「たびたび申し訳ありませんが」といった言葉を選ぶようにしましょう。
自分には使えない
相手の忙しさを思いやる時に使う「ご多忙の折」ですが、自分に対して使うことができるのでしょうか?「ご多忙」は自分に対しては使うことができません。「自分が忙しい」という意味の言葉をメールで送りたい場合は、「少々立て込んでおります」といった言葉に変えましょう。
「ご多忙の折」の英語表記
ここまでで、「ご多忙の折」の意味や使い方がよくわかってきたことでしょう。最後に「ご多忙の折」の英語表記について見ていきましょう。「ご多忙の折」を英語で直訳すると「busy time」となります。しかしこの「busy time」を英語の文章に入れるのはなかなか難しいでしょう。
「ご多忙の折」は、相手が忙しいのを承知しているけれどものを頼みたい時に使われます。そのため英語でも、相手の忙しさに配慮する英語表現が必要と言えるでしょう。まず、取引先の相手に電話をかけたり、メールをしたりする時の英語を見ていきましょう。
この場合、「I understand you are very busy, but~」または「I understand you are occupied at the moment, but」といった表現をしましょう。「busy」と「occupied」の英語の使い分けとして、「occupied」のほうがやることがあって手が空かないという意味になります。
また「I'm very sorry to bother you at this time of year, but」や「I'm terribly sorry to disturb you again, but」という英語表現もあります。「bother」や「disturb」は「邪魔をする」というニュアンスの英語です。「お忙しいところ邪魔をして申し訳ありませんが」という意味合いになります。
次に、社内で使う「ご多忙の折」の英語表現を見ていきましょう。社外の人と交流するより、カジュアルな言い方で大丈夫です。例文を挙げてみましょう。「I know you are very busy,~」や「Sorry to bother you,~」といった言い方でいいでしょう。
「know」は「understand」よりカジュアルな英語です。「Sorry to bother you,~」のような省略した言い方もアリです。また、「ご多忙の折」と言った後で、「長くはかかりません」「すぐに終わらせます」といった意思を示す英語表現も覚えておきましょう。
例えば「I'll keep it short.」や「I'll be quick.」が適当でしょう。さらに英語をメールで使う場合をみていきましょう。「ご多忙の折」をメールで使う英文にすると、「I understand that you are very busy, but~」がいいでしょう。
メールで気をつけなければならない点は関係代名詞「that」が入っているところです。英文メールは接続詞なども省略しないようにしましょう。また「I am」を「I'm」としたり、「I have」を「I've]にしたりするのも避けましょう。
ただ、英語がネイティブの人からは、こうした文章が入ったメールが来ることはないと考えていいでしょう。英語圏にも「ご多忙の折」といった相手を思いやる言い方は存在します。
しかし、忙しいからこそ、メールとは簡潔で分かりやすいものにするという英語ネイティブの考え方があります。英語のメールを書く時、特に英語のネイティブにメールする時に、参考にしてみてください。
「ご多忙の折」は「あなたは忙しい時なのに」という意味
「ご多忙の折」は、相手の忙しさを思いやりながら依頼をする時に使う言葉です。意味をしっかり把握し、例文を参考にしながら、使用してみてください。「ご多忙の折」の使い方には注意点もあります。「ご多用」と臨機応変に使分けていきましょう。ビジネスシーンが円滑に進みます。