「失礼します」の意味
「失礼します」は非常に多くの場面で使うことができる便利な言葉です。例えば部屋に入る時の声がけとして「失礼します」をよく使います。この場合は部屋にいる人に対して敬意を払い「これから部屋に入ります」という予告と許可の意味を含んだ使い方です。
退出の時には「失礼しました」のように使い、入室させてくれたことへの感謝の意味を伝えます。また上司などに「失礼します。ただいま〇〇様よりお電話が入っております」のように伝言や報告の前置きとして使います。
また「失礼します。こちらの書類に印鑑をいただけますでしょうか」のように依頼をする前置きに使い「お手数をかけて申し訳ない」というお詫びの意味を含んでいます。
これらの例文のシーンでは「お邪魔します」や「すみません」もよく使われますが「失礼します」の方がよりフォーマルな印象の使い方になります。
「失礼する」の丁寧語
「失礼します」は「失礼する」の「する」を「します」と丁寧にした表現なので、上司や目上の人に対して使っても失礼にあたらない敬語表現です。
「失礼します」の「失礼」は「礼」を「失う」と漢字で書くように「礼儀をわきまえない行いで、申し訳ありません」と自分の行動の非礼さを詫びることで、相手に敬意を表す丁寧語です。
ビジネスでよく使われる
「失礼します」は「すみません」などよりフォーマルな表現なのでビジネスシーンの会話や商談、メールなどでよく使われます。
また「失礼します」は丁寧語なので、相手に不快な感じを与えない言葉です。商談や打ち合わせ、上司への報告や取引先への依頼など、ビジネスのあらゆる場面で使える便利な言葉です。
「失礼します」の使い方例文
「失礼します」の上手な使い方を覚えるためには、様々なシーンの例文を検証して、自分でも例文を作ってみることです。
「失礼します」は色々な場面で使われる言葉ですが、ここでは会話でお礼の意味で使う場合とメールでの使い方、電話の場合の3つのシーンの使い方・例文を紹介します。
お礼としての「失礼します」
「失礼します」はお礼や感謝の意味を表現するときにもよく使われます。例えば商談や打ち合わせで「今日はお忙しい中有意義なご提案をいただき、早速社に戻って検討させていただきます。それでは失礼します」の例文のように退出の際に感謝の意味を込めて使います。
また相手に「立ち話もなんですので、どうぞこちらの椅子に座ってお話しください」と促されたときに「それではお言葉に甘えて失礼します」のように使います。この場合は椅子をすすめてくれた配慮に対してお礼の意味を表す「失礼します」の使い方です。
部屋を退出する際にも「失礼します・失礼しました」を使いますが、この場合も入室を許してくれたことに感謝の気持ちで使います。このように「失礼します」はお礼や感謝を伝えるときによく使う言葉です。
メールの締めの「失礼します」
「失礼します」はビジネスメールでもよく使用します。使い方の多くはメールの締めの言葉として使います。例えば「今回は先日の打ち合わせの内容を確認をかねてメールでお送りしました。それでは失礼します」のようにメールの最後に使います。
例文のように「失礼します」はほとんどの場合メールの締めの言葉として使われるのですが「突然のメールで失礼します。お問い合わせの件につきましてメールにて回答いたします」のように冒頭に使う場合もあります。
電話の「失礼します」
会話の場合は「失礼します」を挨拶代わりの前置きとして使うことが多いのですが、電話をかけたときには冒頭で「急なお電話で申し訳ございませんが〜」という表現はよく使いますが「急なお電話で失礼します」と言い切ってしまうと次のフレーズにつなげにくくなります。
冒頭では「急なお電話で失礼ですが〜」という使い方をすれば話を次の内容にすすめやすくなります。電話の場合はメールと同様に電話を切る最後に「それでは失礼します」と使うことが多いです。
「失礼いたします」の意味
「失礼いたします」は「失礼します」と使う場面や意味は、ほとんど違いがありませんが「失礼いたします」の方がより丁寧な表現になります。
初対面の人や上司・目上の人に対しては「失礼いたします」を使うことが望ましいと言えます。部屋に入る時に「失礼します」をよく使いますが、面接会場や取引先の部屋に入る時は「失礼いたします」を使うのがマナーと言えます。
「失礼する」の謙譲語
「失礼します」も「失礼いたします」もどちらも敬語表現ですが、「失礼します」は「失礼する」の丁寧語で「失礼いたします」は「失礼する」の謙譲語(けんじょうご)になります。
謙譲語とは自分の側をへりくだることで、相対的に相手に敬意を表す言葉です。「失礼します」にもへりくだる意味合いがありますが「失礼いたします」の方が謙譲の度合いがより強い謙譲語と言えます。
目上の人に使う
「失礼いたします」は「失礼します」より敬意を払う度合いが強い謙譲語なので、上司や目上の人には「失礼いたします」を使うのが無難と言えます。
ビジネスでは初対面の人と会話することが多くあります。初対面の人の場合、相手が目上の立場にある人なのかが分からない場合があります。そんな時には「失礼いたします」を使っておけば相手を傷つけることがありません。目上の人に使える丁寧な謙譲語だと心得ておくことが大切です。
「失礼いたします」の使い方例文
「失礼いたします」は初対面の人や目上の人など「失礼します」では丁寧さが足りないと思われる、より丁寧さが求められる場面で使う表現です。
それでは具体的なシーンで、どのような使い方をすれば良いのでしょう。対面で使う場合、メールの場合、電話対応の場合などシーンごとに「失礼いたします」を使った例文をあげて解説します。
対面での「失礼いたします」
対面で「失礼いたします」を使う場面とはどんな時なのでしょう。一般的には目上の人や初対面の人と会話する時で、就活の面接や上司が同席する会議、取引先の地位のある人を接客する時などが考えられます。
面接の場では「失礼いたします。この度入社試験に応募しました〇〇と申します。学生時代には電子工学を専攻しており御社の企業理念に少しでもお役に立てればと考えております」の例文のように「失礼いたします」を冒頭の挨拶として使います。
会議などでは「本日は私のような未熟な者に、参加の機会を与えてくださいました皆様方に感謝しております。この貴重な経験を仕事に生かして行く所存でございます。それではこれで失礼いたします」のように退出の際にお礼の意を含めて「失礼いたします」を使います。
初めて取引先の会社を訪問した際に「失礼いたします。〇〇社より参りました高橋と申します。営業2課にはどのように行けば良いのか教えていただけますでしょうか」と受付などで尋ねる場合に「失礼いたします」を使います。
逆に訪問客を出迎えて案内する時などでは「〇〇様ようこそお出でくださいました。弊社担当の〇〇部長がこちらの部屋でお待ちしております。私はここで失礼いたします」のように案内を終えて下がる時の挨拶として「失礼いたします」を使います。
例文のように「失礼いたします」は面接時の話し始める冒頭の挨拶や、会議などを退出する際のお礼の言葉などと様々な場面で使います。これらの例文を参考にして「失礼いたします」の正しい対面での使い方・話し方を習得してください。
メールの締めの「失礼いたします」
メールで「失礼いたします」はどのように使えば良いのでしょう。メールの場合は対面の会話と違って、言葉のやり取りができません。その場で言葉を修正することができない一方通行の文章です。
「失礼いたします」はメールの締めの言葉に使う場合が多いのですが冒頭に使う場合があるので、ここでは「失礼いたします」の両方の使い方・例文を紹介します。
またメールは相手の表情が見えないので、失礼にならないように言葉を選ぶ配慮が必要になります。このことを念頭に置いて「失礼いたします」を使った例文を参照してください。
冒頭で使う場合は「取り急ぎご連絡をメールにて失礼いたします。本来ならお伺いして説明するべき案件ではございますが、事前に概要をお知らせしておくことが良策と思い、ご連絡した次第でございます」のようにメールでの失礼をお詫びするために「失礼いたします」を使います。
「本メールには前回の打ち合わせの議事録を添付してございます。郵送でお送りするべきものではございますが、メールにて失礼いたします」のように末尾の締めに「失礼いたします」を使います。
「メールにて失礼いたします」という表現は、本来ならお会いして説明することや文書を郵送するべきことを、メールで済ませることを謝罪する時に使う言葉です。その内容や状況により「失礼いたします」を冒頭に使う場合と末尾の締めに使う場合を選択する必要があるので留意しましょう。
電話の「失礼いたします」
会話の場合は互いにアポを取るなり会う時間を決めて話すことができます。メールの場合は時間に関わりなく相手が読む時間を選択できます。それができないのが電話です。
つまり電話をかけるタイミングが非常に重要になります。かける側がこの時間ならお手すきなのではと思っても、相手にとっては急に忙しくなる場合もあります。ですから電話の場合は冒頭で電話をしたことのお詫びのフレーズとして「失礼いたします」を入れるのが礼儀になります。
「朝早い時間に失礼いたします。どうしても早朝会議の前にお伝えしなければならないことがございましたので、お電話した次第です」のように緊急のため仕方なく電話したことを詫びる意味で「失礼いたします」を使います。
この「失礼いたします」の使い方は早朝だけでなく、夜分遅くの電話や忙しい時間帯にかける場合にも使うことができるフレーズです。つまり相手の都合ではなく自分の都合で電話をかけた謝罪の気持ちを伝えるために「失礼いたします」を使います。
このほか不特定多数の人に「突然のお電話で失礼いたします。これから質問するアンケートにお答えいただけますでしょうか。ご協力いただければ粗品を進呈いたします」のように協力依頼をする場合にも「失礼いたします」が使われます。
このように電話は相手の迷惑を考えずに使われるアイテムです。ビジネスではそのことを考慮してかける場合には、緊急の場合でも電話をかけた謝罪から話し始めるのがマナーになります。
「失礼いたしました」
「失礼いたしました」は「失礼いたします」の過去形です。ではどんな場面で使うのでしょう。過去形なので会話では別れ際の挨拶、メールでは最後の締めの言葉で使われるのが通常です。
例えば「本日はこのようなセミナーにお招きいただき誠にありがとうございました。私の拙い質問にも真摯にお答えいただき失礼いたしました」のように使います。
しかし会話やメールでも、過去の出来事を振りかえって表現する場合には使うことができます。例えば「先日の会議では私の拙い司会で、大変失礼いたしました」のように使うことができます。
また「ホームパーティーでは至らない点が多く大変失礼いたしました。それにもかかわらずお褒めの言葉を頂戴して恐縮しております」の例文のように「失礼いたしました」を「失礼いたします」の過去形で使うことができます。
「失礼します」と「失礼いたします」の違い
「失礼します」と「失礼いたします」ではどのような違いがあるのでしょう。ここではその違いを検証してみましょう。まず基本的に「失礼します」と「失礼いたします」では丁寧さの度合いに違いがあります。「失礼いたします」の方がより丁寧な表現です。
しかしより丁寧な「失礼いたします」を、親しい間柄などとの会話では少し堅苦しい印象を相手に与えてしまいます。親しき中にも礼儀ありと言われますが、丁寧過ぎるのも場合によっては違和感を生じます。
どちらも間違いではない
「失礼します」は丁寧語で「失礼いたします」は謙譲語なので、どちらも敬語表現としては間違っていません。ただ丁寧さに違いがあるので、初対面の人や上司などの目上の人に対しては「失礼します」では敬語として弱いかも知れません。
また「失礼します」も「失礼いたします」も意味や使い方に違いはありませんが、丁寧さに違いがあるのでビジネスシーンの取引先や上司に対しては「失礼いたします」を使うのが無難と言えるでしょう。
目上の人に使うか
取引先や目上の人に「失礼いたします」を使うのは丁寧な敬語なので問題ありません。しかし取引先の担当者で、ある程度気心が知れた間柄で「失礼いたします」を使う場合は「何を今更あらたまって、それほど互の信頼関係は薄かったのかな?」と疑問を生む場合があります。
その場合はややフランクな表現の「失礼します」を使った方がベストです。「失礼します」も丁寧語なので、取引先の担当者を傷つけることにはなりません。
つまり「失礼します」と「失礼いたします」に違いはほとんどないのですが、相手によって感じ方や受取り方に違いがでます。相手と自分との関係によって使い分けるようにしましょう。
「失礼します・失礼いたします」を使えるようになろう
「失礼します」「失礼いたします」はビジネスでもよく使われる敬語表現のフレーズです。ここまでそれぞれの意味や使い方、例文を紹介してきました。
「失礼します・失礼いたします」両者の違いや、使う相手によって使い分ける必要があることも紹介しました。これまでの記事を参考にして、「失礼します・失礼いたします」を上手に使いこなしてビジネスに役立ててください。