英検2級の合格率や難易度はどれくらい?
「実用英語技能検定試験」通称「英検」は、多くの高校・大学の入学試験などで優遇されたり、海外留学時の語学力証明資格に認定されたりしています。
なかでも英検2級は、英語の基礎知識は身についており、高校中級程度レベルが実証される資格です。また、入試優遇・単位認定ほか、センター試験対策などメリットの幅も広がります。そして、社会人としても、英語の土台が出来ているという証になるので、持っておいて損のない資格です。
そんな英検2級の合格率や難易度とは、一体どの程度のものなのでしょうか。今回の記事では、英検2級の一次試験・二次試験のレベルや対策法も含め、英検2級の合格率・難易度を調査していきます。英検2級を目指している方は、ぜひ参考になさってみてください。
英検2級の合格率
英検2級の合格率は、以前は公表されていましたが、残念ながら現在は未公開となっています。そのため直近の合格率は不明なのですが、こちらでは過去の合格率をもとに解説していきます。
英検2級の合格率が急激に変化するとは考えにくいので、過去と同程度に推移しているという考えのもと、英検2級一次試験・二次試験それぞれの合格率を見ていきましょう。
一次試験の合格率
筆記とリスニングの試験である英検2級の一次試験。筆記試験・リスニング試験・ライティング試験、それぞれの試験に650点が振り分けられ、一次試験合計で1950満点の試験となります。
2016年度、高校生の英検2級の一次試験合格率を見てみると34%でした。また、前年の2015年度一次試験合格率は27%です。ちなみに、高校生の受験者数を見てみると、2016年度の一次試験受験者数は、84,741人で前年より13%増加しています。
今までの英検2級の一次試験合格率平均を見てみると、高校生に限らず全体の合格率は大体30~35%の間で推移しており、10人中3人が一次試験に合格し、二次試験へ臨むという結果になっています。
二次試験の合格率
無事に30~35%の合格率を突破した場合、次に受けるのは英語での面接試験となる二次試験です。こちらでも、例として高校生の英検2級二次試験の合格率を見てみましょう。2016年度の合格率は80.4%で、前年の2015年度は83.9%でした。
高校生に限らず全体的に見た場合、英検2級二次試験の合格率は約80%となります。先程の一次試験合格と合わせて考えると、英検2級の合格率は約25%となります。
英検2級の一次試験を、10人のうち3人が突破し、その3人のうちの2人ないし全員が二次試験もパスして、英検2級を取得できるということになるのです。
その他の級の合格率
ここまで、英検2級の一次試験・二次試験の合格率を見てきましたが、ここからは他の実用英語技能検定試験の合格率も調査してみます。大学上級程度の「英検1級」・中学卒業程度の「英検3級」を順に見てみましょう。
英検1級
英検1級といえばネイティブレベルで、日常ではなかなか使わないような問題が、試験では多く出題されます。そんな英語1級の合格率は、約10%かそれ以下と言われています。
英検1級合格に必要な語彙数は、10,000~15,000程度であり、英検1級合格はTOEICで900点以上取るより難しいと言えるのです。
この難しい英検1級に合格したということは、実用的で高い英語能力を有していることを証明になります。また、通訳士試験では、英語試験が免除となるメリットもあります。
英検3級
英検3級の一次試験の合格率は約50~55%、二次試験は90%を超える合格率となっています。つまり英検3級では一次試験で約半分が落とされ、二次試験ではほとんどの方が合格しているという事になります。年間の受験者数は約60万人なので、30万人程度が英検3級を取得しているのです。
ちなみに、英検3級の合格ラインは、CESスコア1,103点です。CESスコアとは、リーディング・リスニング・ライティング技能を得点化したものです。それぞれ550点なので、満点は1,650点ということになります。
英検2級の難易度
英検2級のCESスコアを見てみると、合格基準スコアは1,980点となります。英検2級では、一次試験のリーディング・リスニング・ライティング各650点、合計1,950点中1,520点、二次試験のスピーキング650点中460点を取れれば、合格基準を超えることになるのです。
そして、前述したように英検2級のおおよその合格率は、3人に1人となるので、難易度としては物凄く難しいわけではないけれど、簡単でもないというところに落ち着きます。
幾つかのポイントを押さえれば、決して受からない試験ではないので、後程ご説明する合格するための対策を参考に、英検2級取得に挑戦してみて下さい。
英検2級のレベル
様々なメリットのある英検2級の受験を検討しているけれど、レベルが分からないと不安なものです。また、せっかく英検2級を受けるなら、正しいレベルを知ったうえで、合格のための対策をするのが重要です。
こちらでは、「総合的なレベル」「英単語レベル」「英文法レベル」について、詳しくご説明していきましょう。
総合的なレベル
前述したように、簡単にいうと英検2級は高校卒業程度の英語レベルと言えます。大学入試やセンター試験程度の難しさであり、英検2級の優遇措置を採用している大学も数多くあります。優遇措置とは、出願資格・特典加算・加点・判定優遇・合否参考・試験免除などです。
また、海外留学する時の目安ともなります。英検2級を持っていれば、留学できる海外の大学も多く存在するのです。
そして、英検2級は社会的にも英語力を評価されるレベルと言えます。それは通常、履歴書に記入できる英検の級とは、2級からと考えられているからです。
英単語レベル
英検2級の試験を受けるうえで、まず確認しておかなければならないのは「英単語レベル」です。英検2級レベルの英単語といえば、高校卒業程度の単語で、語彙数は約5,100程度です。
英検2級に多く出てくる単語は、高校2~3年の教科書に出てくるレベル。日常生活に使う単語より少し難しく、どちらかというと社会生活に必要な語彙力が求められます。
英文法レベル
英検2級に合格するためには、「英単語レベル」だけでなく、「英文法レベル」も重要になってきます。高校1~2年で習う文法を理解できていれば合格できる準2級とは違い、文法項目に制限のない英検2級では難易度の高い文法も出題されます。
英検2級の一次試験では、文法そのものを問われる問題もあり、難易度が高いばかりでなく文法項目の出題傾向は多岐に渡ります。なかでも、分詞構文・自制の出題傾向がとても高くなっていますので、文法の参考書を用意してしっかり対策するのがおすすめです。
英検2級の出題問題
ここまで、英検2級の合格率・難易度・レベルについてご説明してきましたが、実際に試験を受け合格率を上げるためには、具体的な出題問題がどういうものなのか知っていなければなりません。こちらでは、一次試験・二次試験にどのような問題が出されるかを見ていきましょう。
一次試験
既にご説明した通り、一次試験はリーディング・ライティング・リスニングの3技能で評価されます。これら3技能の合計84点の65%である55点を取れれば、合格率は上がります。ただし、3技能のバランスが悪いと、合格できないので注意が必要です。
リーディングは、短文の語句空所補充20問・長文の語句空所補充6問・長文の一致検索12問。ライティングは記述式が1問、リスニングは会話の内容一致選択が15問・文の一致選択が15問出題されます。リーディング・ライティング・リスニングの更に詳しい出題内容を見ていきましょう。
リーディング
英検2級リーディングの大問1は「短文の空所語句補充」。空所のある英文が設問となっており、選択肢が4つ用意されているので、その中から適切なものを選ぶという問題。20問の内訳は、単語が問われる問題が10問・熟語が問われる問題が7問・文法が問われる問題が3問です。
大問2「長文の空所語句補充」では、2つのパッセージに3箇所の空白があり、用意された4つの選択肢から適切なものを選ぶというもの。こちらの問題は、パッセージの流れを掴む読解力と、語彙力が問われる難易度の高い問題となります。ちなみにパッセージとは、比較的短い文章の事。
大問3は、3つの長文が用意されており、それぞれに質問文と選択肢が設定されています。ひっかけの少ない問題なので、落ち着いて答えて合格率を上げましょう。
ライティング
英検2級のライティングは、指定されたトピックについての英作文を書くという記述式の問題。質問に対し自分の意見と、その理由2つ語数80~100語の英文で答えるというものです。このような自分の意見を記述する場合には決まった書き方があるので、定型文を押さえるのがポイントです。
正しい英検2級ライティングの構成を理解して、定型文を使うライティング対策をしていけば合格率も上がっていくはずです。
リスニング
英検2級のリスニングは、会話の内容一致選択の大問1と、文の内容一致の大問2で構成されています。大問1では、スピーカー2人の会話が一度だけ流れます。
会話が流れた後に、この会話に関する質問が流れ、4つある選択肢の中から適切な答えを選ぶという形式です。大問2は、会話形式ではなく1人のスピーカーによるナレーションです。ナレーションの後に質問が流れ、やはり4つの選択肢の中から適切なものを選びます。
リスニングの合格率を上げるためには、高校レベルの文法事項を一度聞いただけで、「英語を英語で理解できるようになる」ことが重要です。
二次試験
英検2級の一次試験に無事合格すると、次は面接形式のスピーキングが評価される二次試験に挑戦することになります。二次試験の問題構成は、「20秒後の黙読後にパッセージを音読・パッセージについての質問・イラストの展開説明・受験者自身の意見等を問う問題」となります。
パッセージの内容は、それほど難易度の高いものではなく、英検2級の一次試験を通過した人なら問題なく理解できるものです。英語に詰まることなく、流暢なスピーキングができるように、何度でも面接形式の練習を重ねることが、合格率を上げるポイントです。
英検2級に合格するための対策
ここまで何度かご説明したとおり、英検2級に合格するためには、技能ごとにバランスよく点を取らなければなりません。たとえ、ライティングとリスニングが満点だったとしても、リーディングが0点であったなら合格することは出来ないのです。
自分の得意な分野だけに偏って得点を稼ぐというより、リーディング・ライティング・リスニングの3つの技能で、まんべんなく点を取れるよう対策するのがおすすめです。こちらでは、英検2級に合格するための、3技能それぞれの対策法をご紹介していきます。
一次試験対策
英検2級に合格するためには、まず一次試験を通過しなければなりません。二次試験より一次試験の合格率の方が低いことも考え、一次試験の対策をしっかりと行うことが重要になってきます。
英検2級の試験構成は、85分間のリーディング・ライティングの筆記試験を受けた後に、25分間のリスニングテストが始まるという形式です。
リーディング・ライティング・リスニング3技能すべての分野で6割以上、得意分野においては7~8割以上の得点を取れるよう対策をしていきましょう。それには、過去問を解いてみる事がおすすめです。過去問で自分の苦手分野を知り、英検2級の形式に慣れていきましょう。
リーディング
リーディングの得点を効率良く稼ぐためには、どのような対策が必要なのでしょうか。それには、まず英検2級レベルの文法・語彙力を身につけることが重要です。
また、ライティングで余裕をもって英作文を書くためには、長文読解に慣れておく必要もあります。正確かつスピード感をもって長文を読むためには、英検2級の過去問などを数多く解き、地道に長文を読む訓練を重ねることが効率的な対策となります。
ライティング
指定されたトピックに対し、理由を2つ上げ80〜100語で自分の意見を述べるライティングテスト。トピックの内容は社会問題に関するテーマが多く、日本語であっても自分の意見を文章にするのは、なかなか難しいもの。しかし、ライティングにはコツがあるのです。
そのコツとは、決まった構成を覚えるということで、10~20語で序文・20~30語で2つの理由・10~20語で結論を書くというもの。こちらは、あくまでも例ですが、序文で自分の意見を明確にしておき、2つの理由には具体的な例をあげ、結論では自分の意見を再び主張するのが大切です。
難易度の高い表現を無理して使うより、自信を持って使える表現で記述すると良いでしょう。また、単数・複数形や冠詞の抜けなど、細かい減点をされないよう基本的なミスに要注意です。
リスニング
リスニングでは「慣れ」が重要なポイントになるので、英検2級に対応したリスニング教材を活用するのがおすすめ。また、英文が流れる前に、選択肢を読んでおくのも大事なポイントです。選択肢から問題の途中でも答えが分かる事もあり、次の選択肢に目を通す余裕も生まれます。
そして、リスニングでは英文が聞き取れたとしても、言葉の意味が分からなければ回答することが出来ません。リスニングでは、英語の音声に慣れるほか語彙力も必要となってきます。語彙力強化は、英検2級のライティング・リスニング両方の対策となるのです。
二次試験対策
英検2級の一次試験に合格したら、次は二次試験への挑戦となります。試験官1名との7分間の個人面接で、会話はすべて英語のスピーキングテストです。
英検2級の二次試験に合格する対策としては、面接形式に合わせた練習が必要です。過去問などを利用して練習するときは、問題カードを読む際ハッキリと大きな声で読むよう習慣づけましょう。
イラストの説明をする時は、自分の言葉で説明することが重要です。イラストの中の情報を生かして説明する事がポイントなるので、過去問等で何度も練習してみて下さい。また、コミュニケーション能力も評価されるので、沈黙は避け面接官の目を見て大きな声ではっきりと会話しましょう。
英検2級の合格率は低く難易度は高い
今回の記事では、英検2級の合格率・難易度を調査するとともに、試験のレベル・出題問題・対策法もご紹介してきました。英検2級の合格率は低く、難易度は高い試験ですが、数多くのメリットがある知名度の高い検定の一つでもあります。
試験勉強は決して楽なものではありませんが、自分の英語力を更に上げていくための素晴らしい機会にもなります。是非こちらの記事を参考に、英検2級合格を目指してみてください。