アピールの意味とは?
「アピール」とは、「訴えかけることや、その訴え」を意味します。「人々や世の中に広く訴えかける行為」「訴えかけることそのもの」を「アピール」といいます。わかりやすくいうと、「相手に自分の気持ちや特徴を伝える」という意味となります。
「アピール」は、日常でよく使われる言葉です。特に、会社やアルバイトの面接などでよく耳にします。例えば、「自己アピールしてください」「あなたのアピールポイントを教えてください」など、少し固い印象を受ける言葉でもあります。
しかし、「アピール」には複数の意味があり、その意味を理解することでもっと気楽に「アピール」という言葉を使えるようになります。「アピール」の類語や例文、間違えやすい「ピーアール」との意味の違いも解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
アピールの類語
ここからは、「アピール」という言葉の類語を確認していきましょう。「アピール」の意味は複数あるので、類語も多数存在します。「アピール」の類語を理解することで、「アピール」の正しい意味合いが深く理解できるでしょう。
類語①主張
「主張」とは、自分の考えを強く言い張ることを意味します。「アピール」とほとんど同じ意味で使われ、類語となりますが、「主張」と「アピール」は少々意味合いが異なります。
「アピール」という言葉は、「アピールポイント」や「自己アピール」という様に、「魅力や優れた点がある」という意味ももっています。それに対して「主張」はそのような意味合いがありません。自己の主張を強く訴えかけることだけを意味しますので、「アピール」との混用は注意が必要です。
類語②訴求
「訴求」とは、強く訴えかけることを意味します。例えば、商品やサービスの利用を働きかけるときに、売り手側が買い手側に行う行為が「訴求」です。買い手側の欲求に応え、色々な手段で購入を促します。
「相手が行動を起こすように訴えかける」という点で「アピール」と同じ意味がありますので、「アピール」の言い換えに使えます。このようなことから、「訴求」は「アピール」の類語となっています。
類語③誘引
「誘引」とは、「興味を誘って引き込むこと」という意味です。「アピール」にも、そのような意味合いがあります。例えば、「セックスアピール」という言葉は「異性を惹きつける力」という意味です。
「誘導」や「誘惑」なども「アピール」の類語にあたります。「何らかの動作で、人を誘うこと」という意味合いが「アピール」にあるからです。
アピールの使い方・例文
ここからは、「アピール」という言葉の使い方を例文にして解説していきます。「アピール」という言葉は普段からよく使う言葉ですが、それだけに間違えた使い方をしている方も多いです。
ひとつひとつの例文で使われる「アピール」の意味を、じっくり考えながらご覧ください。全部で5つの例文を見ていきます。
例文①
「あなたのアピールポイントはなんでしょうか」「私のアピールポイントは、どんな人とでも仲良くなれるコミュニケーション能力があることです」。「アピール」は、このような使い方ができます。
「アピール」は、「人を惹きつけるような魅力」という意味もあります。そのため、「アピールポイント」は、「長所や強調したい点、魅力のある点」という意味になるのです。
例文②
「一生懸命なのは伝わってくるが、彼のアピールには正直うんざりしている」「彼女のアピールが強すぎて、参っている」。これらの例文について詳しく見ていきましょう。
「アピール」に「うんざりしている」「参っている」というマイナスな言葉がついています。それは、「アピール」に「人々に強く訴えかける」という意味があるからです。その「アピール」によって、感動する人もいれば、うんざりする人もいます。受け取る側によって、感覚が変わってくるのです。
例文③
「自社製品の便利さをアピールするために、販促企画を考えよう」。この例文の「便利さをアピール」という部分は、「便利さを強く訴えかける」と読みかえることができます。
マーケティングの分野でよく使われる「ピーアール(PR)」とよく似た使われ方をします。しかし、「アピール」と「ピーアール」の意味は似ているようで違いますので、覚えておくと便利です。その意味の違いについて、後半の項目で解説します。ぜひチェックしてみてください。
例文④
「彼は自分をアピールするのが上手だ」「最終面接では、自分が経験してきた職業についてアピールした」このような例文は、「アピール」=「説明する」という意味合いで使われます。
2つ目の例文の場合、「自分が経験してきた職業について説明した」と読みかえることもできます。しかし、「説明した」という言葉よりも「アピール」という言葉を使うことで、より「力強く訴えた」というニュアンスになります。淡々とした説明ではなく、熱が入ったプレゼンという意味合いです。
例文⑤
「審判にアピールをしている監督の様子」「今、監督によるアピールがはじまりました」このような例文は、「アピール」=「抗議」という意味の使い方をしています。
プロ野球などでよく耳にすることも多い「監督のアピール」という言葉。これは、誤審が疑われるときなど、監督が抗議を申し出るときに使われます。「抗議」といっても、詰め寄るような態度ではなく、「確認する」というニュアンスの使い方になります。
アピールとピーアールの違い
「アピール」と似ている発音の「ピーアール」という言葉があります。みなさんは、「アピール」と「ピーアール」の意味の違いはご存じでしょうか。発音だけでなく意味も似ているため、間違えた使い方をしている方は多いです。
そんな方のために、「アピール」と「ピーアール」の意味の違いについて解説していきます。また、履歴書で目にすることが多い「自己PR欄」。この「ピーアール」についても理解を深めましょう。
「ピーアール」を「アピール」と同じような意味として履歴書を書いてしまうのはもったいないので、避けた方がいいのです。ここからは、「アピール」と「ピーアール」の意味の違いについて、じっくり解説していきます。ぜひ参考にしてください。
ピーアールは「自分と公の関係を良くするための活動」という意味
「ピーアール」は「自分と公の関係を良くするための活動」を意味します。「ピーアール(PR)」は「Public Relations(パブリックリレーションズ)」の略です。この頭文字をとって「PR」と言われており、「広報」や「宣伝」と同じ意味で使われています。
「Public」は「公的」、「Relations」は「関係」という意味を持ちます。公的というのは、企業や行政など公的な団体を指します。わかりやすく説明すると、「ピーアール」は「自分と会社のつながりを良くするための活動」「消費者と企業のつながりを良くするための活動」というような意味になります。
アピールとピーアールの意味の混同に注意
「アピール」と「ピーアール」の混同には注意が必要です。語感が似ているため、間違えてしまっている事例がよくあります。その1つが、履歴書の自己PR欄です。
履歴書の自己PR欄に書くべきことは、「会社に対してどんなことをして、どんなことに貢献できるのか」ということです。PRですので、「公と自己の関係」を軸にして考えなくてはいけません。企業が求めている人材と、自分の能力やスキルが合っているかということを伝えるべきなのです。
自己PRを自己アピールと混同してしまうと、自分の魅力が上手く相手に伝わらない可能性があります。ただの「アピール=自己主張」では、企業に貢献できることの根拠にはなりません。「自分と相手との関係」の中で、自分の強みを伝えることが大切です。
ピーアールの類語
「ピーアール」も類語が複数存在します。「広告」「広報」「宣伝」「プロモート」など、「関係性を構築する」「善意を抱くようなプロモーション」といった意味合いの類語です。こちらもあわせて覚えておきましょう。
アピールの英語表記
「アピール」の英語表記を見ていきましょう。「アピール」は英語で「appeal」と表記します。「アッピール」と読まれることもありますので覚えておきましょう。「appeal」の意味については下記で解説します。参考にしてください。
英語の「appeal」の意味
英語の「appeal」の主な意味は、「懇願する」「訴える」「抗議する」などです。私たちが使っている「アピール」の意味とほぼ同じですが、英語の「appeal」は「裁判官に上訴する」や「応援を要請する」などの場合によく使われます。少し固いイメージがあるということを押さえておきましょう。
アピールは「人々に訴えること」という意味
今回は、「アピール」の意味や類語について解説していきました。例文でもご紹介した通り、「アピール」には様々な意味があります。似ている言葉の「ピーアール」との違いもしっかり理解して、「アピール」を正しく使っていきましょう。