「メンブレ」の意味
最近、若者、特に大学生などを中心に「メンブレ」と言う言葉が流行りつつあります。意味としては「メンタルブレイク」を略した言葉で、精神が壊れた状態を示した言葉です。SNSを中心に使われ始めたのをきっかけに広まりました。
今の若者はそんなに精神的に病んでいるのか、一部ではよく流行る一方で既に死語認定されたとも言われる噂の「メンブレ」ですが、その意味や由来、その使い方と類義語などを例文を挙げながら解説していきます。
精神が壊れ落ち込んだ
メンブレは心が折れる様子、心が傷ついて落ち込んでいる状態を表わす言葉ですが、精神科に通わなければいけない程の重症などというわけではなく、心理学的用語でもありません。SNSや掲示板で流行したネットスラングのひとつです。
「辛い」や「病んだ」という表現では重くなりますが、軽く「メンブレした」と表現することで、相手に深刻になり過ぎずに落ち込んだ気持ちを伝えることができます。
アイドル用語にもある
アイドルグループの特定のメンバーに入れ込むことを「推し」といい、そのメンバーを「推しメン」と呼びます。その推しの対象がブレる、または複数いることも「メンブレ」と言います。例文を示すなら「新しいグループのA子もB美もよくてメンブレしてしまう」この様になり、この使い方の場合は「メンバーがブレる」の意味になります。
「メンブレ」は言葉の乱れ?
昔から常に言葉は時代と共に変化して、それを嘆くのは世の常です。ここ10年だけでも言葉は変化し続けています。かの清少納言も「最近の若者の言葉は乱れている」と記していたといった記録もあると言われています。
新しいの「新」には元々「あたら」の読みはなく、本来は「あらた」しいだったのが、言い間違いから広まり今では「あたらしい」が正しくなっています。このように言葉は刻一刻と変化しているものなのであまり気にすることもないでしょう。
「メンブレ」の由来
「メンブレ」という言葉は、特定されたなにかアニメやドラマの台詞のような、といった由来はなく、SNSの中で自然発生のような形で生まれました。略し方の法則的には、近年の「TKG(卵かけご飯)」のパターンではなく、その前からある「パソコン」や、「プリクラ」などと同様の形になります。
SNS上でブームに
メンブレという表現は特定のマンガや何かからの引用といった明確な由来のあるものではありませんが、女子高生同士のSNSで見られた言葉が最初だったと言われ、やはり新語録の発信源は女子高生だった事が伺えます。
多くのSNSでは文字制限があることから、少しでも文字数を省略できることもあり、そこからTwitterや掲示板へと拡散していき、それらを使用している人たちが日常でも使ったことで一般にも広がりつつあるようです。
SNS由来の若者言葉たち
「キボンヌ」「いいね」「映える」など、他にもSNSを由来とする言葉は多く生まれました。既に「キボンヌ」や「キターー」などは死語と化しましたが、「いいね」「映える」はしっかり市民権を得た言葉と言えるでしょう。
最近のSNS発祥の流行り言葉では他にも「ナウしか」「おけまる」などがあります。意味は「NOW(ナウ)しか(ない)」と「OK。(おっけーまる)」となります。
「メンブレ」の類義語
話題になる一方で「聞いたり、使ったりする人を見たことがない」ともいわれてしまう「メンブレ」ですが、上手く意味が伝わらないときには、別の類義語を使って説明しなければ相手に理解してもらえません。以下に「メンブレ」状態を表すことのできる類義語を紹介します。
メンホー
同じくネットを中心として使われる類義語に「メンホー」があり、一部では「メンブレ」よりも使われているとも言われます。片仮名でわかりにくいですが「ホー」は崩壊に由来します。メンタル崩壊はストレスをため込んでしまって辛い時や疲れているときなどに使われる表現です。
憂鬱(ゆううつ)
憂鬱は気持ちが落ち込んでいて、明るい気分になれないことを意味する言葉です。何事にもやる気が起きず、無気力な状態になってしまいます。これが過ぎると所謂「うつ病」などを引き起こすので注意が必要です。憂鬱はメンブレと違い何かに対して、というよりも、全体的になんだか億劫なときなどに使われます。
へこむ
一番耳馴染みのある類義語で、ほぼこれと同様の使い方をすると言えばメンブレを説明できるでしょう。意味としては今更の解説ですが、周囲よりくぼんだ状態になぞらえて「落ち込んだ様子」を示しています。もしくは「へこたれる」からの由来する語である、との意見もあります。
しょんどい
しょんどいはメンブレと同じく、最近生まれた類義語で、意味としては「正直しんどい」となります。メンブレは精神的な使い方が主ですが、しょんどいは肉体的にきついときにも使われます。本当に疲れ果てたなどではなく、こちらもネタ的に「ちょっとしんどい」の意味合いです。
気が滅入る
気が滅入るもメンブレと同じ使い方をする言葉のひとつで、気分が落ち込んで暗い気持ちになる様を示す類義語です。衝撃的なことがあったというよりも、嫌なことがあってげんなりとして、ブルーな気持ちになった時に使う言葉で、憂鬱と同じくやや重めな表現になります。
「メンブレ」の使い方
メンブレの意味や由来、類義語について解説しましたが、次にメンブレの使い方について説明します。メンブレは、落ち込んだ気持ちや話を誰かに聞いてほしいときや、大変だったけどもう大丈夫だ、と伝える時にも使います。
しかし、意外と知られておらず、自身が使う場合は相手に通じない可能性もあることも考慮しないといけません。世間ではどのような使われ方をしているのか、まとめました。
①SNS
SNSでは文字数制限から、そんなに長い文が打てないというのもありますが、あまり深刻な話を書き込むことは少ないです。「メンタルブレイク」と言うと大仰ですが、本気の悩みや追い詰められたわけではなく、軽い気持ちで「メンブレなう」「メンブレ案件」のような使い方をしていることが多いです。
②日常会話
一部の大学生は日常的に疲れた時や、怒られた時などにメンブレという表現を使っているとも言われます。意味的には「ちょっと落ち込んじゃった」程度の感覚での使われ方で、聞かされた方もそう深刻に受け取る必要はありません。軽い冗談の一種か、ちょっと愚痴りたいくらいのイメージです。
③自虐ネタ
基本的にメンブレを使うときは、何かショックなことがあった時ですが、ネタ的に「なんでもいいからとりあえず」付けて、笑いを取る手法もあります。「そんなことでメンブレかよ」とツッコまれることを前提としています。この場合、とてもメンブレしそうにない内容であればあるほど効果が得られます。
「メンブレ」の例文
メンブレ自体は類義語を確認して、どのような場面で使われるのかは多少理解が深まったでしょう。しかし、実際の使い方はどうなっているのかというと、まだ使いこなせるか、不安が残ります。
なにか「マイナスな出来事」の後に付けて使うのが基本ですが、傷ついていることを伝えるために「メンブレ中」のように単体で使われることも多いです。そんなメンブレの使い方を以下にどのような使い方なのか例文と共にまとめました。
①失恋した時
恋愛は楽しく、心を豊かにして人を成長させます。しかしその恋が必ずしも順調とは限りません。失恋や、トラブルが起き傷つくこともあります。例文を挙げるなら「(交際相手が)浮気してるのを見かけてメンブレ」や「ファンだった芸能人が結婚してメンブレ」のような形で活用します。
②怒られたとき
人前で怒られたときや、些細なことでものすごく怒られつらくかなしいときなどに「みんなの前で怒られてメンブレ中」のような例文で表します。かなりのダメージとはいえ、精神科に通ったり、何か大事になるほどでもありません。このように「かなりのショック」といった意味合いに使われます。
③バイトで失敗した時
学生を中心に広まる言葉なだけあり「昨日バイトでやらかしちゃってマジメンブレ」などと言うのは、かなりスタンダードな例文の一つです。バイトに限らず仕事や部活などで何か失敗をしてしまい、悲しいときにこのように周囲に漏らし、同情してもらって、慰めてほしいときの用例です。
④テストの点数が悪かった時
テストの点数が自分で思っていたよりも悪いときは気分が落ち込み、誰かに慰めてほしいという気持ちになります。そのようなときの例文としては「先週のテストの結果がひどすぎてメンブレ」と話すことによって、軽く「テスト結果を見てちょっとブルー」と伝えることができます。
⑤SNSでディスられた時
SNSが日常に溶け込んでいる現在は、リアルとネットの境なく、メンブレする可能性があります。例文としては“いいね”がたくさんつくと思って写真をネットにUPしたら「叩かれまくってメンブレした」のようにネットで起きたことについても同様に使われます。またはラインなどで既読スルーなどされたときもメンブレの原因となります。
「メンブレ」になりやすい人とは
メンブレの類義語や使い方を例文を見て、上手く「メンブレ」を使えるようになったとしても、できればメンブレ状態にはなりたくはありません。アンラッキーな出来事は日常に溢れていますが、誰もがメンブレになってしまうのでしょうか?どのような人がメンブレに陥りやすいのかまとめました。
①完璧主義者
すべてを計算し、完全完璧を目指す人は、些細なミスも見逃せず “汚点”となり得ます。他人からすればちゃんとしていても、本人が強く納得できないことがあったら、そこからメンブレ状態になってしてしまう可能性があります。少し気持ちにゆとりを持てば避けられるでしょう。
②マジメ
マジメで几帳面な性格の人もメンブレしやすいと言えます。「ちゃんとやらなきゃ」という想いが強すぎてひとりで追い詰められている状態です。些細なことも気にして引きずってしまい、くよくよと悩んでしまいがちです。適度に手を抜かないと、とてもきつく、メンブレを引き起こしてしまいます。
③人目を気にしやすい
自意識過剰なのではなく、人から受ける自分の評価がやりがいにつながるタイプの人もいます。そのような人は「自分の価値=他者の評価」なので、ちょっと他人から言われた一言に必要以上に過敏に反応をします。自分に自信をもって、人は人と割り切ることがメンブレしないコツです。
④元々マイナス思考
良いことも悪いことも、何事が起きても物事をマイナスにしかとらない人も存在します。このような人は何が起きてもキャパシティを超えたらメンブレしてしまいます。小さな“嫌なこと”は日常に溢れかえっていますが、逆もまた然りです。“良いこと”を拾っていくことでメンブレは避けられるでしょう。
⑤ストレスに弱い
ついついストレスを溜め込んでしまいがちな現代ですが、このストレスもメンブレにつながります。適度に発散できていれば問題ないのですが、積もり積もっていつしか溢れ出て爆発してしまったら一気にどん底状態になる可能性もあります。できるだけストレスは溜めないようにするとメンブレしにくくなります。
「メンブレ」したときは
メンブレになる原因や、使い方も例文を使い解説してきましたが、内容を理解して「私はメンブレにならないから大丈夫」「こんな言葉使わない」と思った人も居られるでしょう。しかし、いつ精神的につらい状況になるかわかりません。そんなときに立ち直るきっかけになる行動を紹介します。
①運動して発散する
近所を散歩したり、軽くジョギングしたり、無理のない程度に体を使って発散するのはお手軽でおすすめの方法です。運動が苦手ならばストレッチ程度でも気分転換になります。汗を流し、気晴らしをしたら心の整理がついて晴れやかな気持ちになってすっきり爽快になれます。
②グルメを味わう
美味しい物を食べて嫌な気になる人はいません。自分の大好物であれば尚更気分が上がるでしょう。自身への景気づけに思い切って美味しい物を満喫するのも復活への手段となります。チョコレートには気持ちを落ち着ける成分が含まれていると言われるのでおすすめです。
③旅に出る
同じ場所に留まっていると、どうしても色々と考え、悶々としてしまいます。思い切って物理的に違う環境に身を置くというのも元気になる方法といえるでしょう。大切なのはただ行くのではなく「旅を楽しむこと」です。落ち込んでいる暇がないくらい楽しめば悩みはどこかに飛んでしまいます。
④誰かに聞いてもらう
人に話すことで考えがまとまったり、自分でも気付かなかったことに気づけたりもします。また、つらい出来事は人に話すことで、理解や共感の言葉を得ることで、悩みやつらさが軽減されていきます。どうしても人に言えない場合は、紙に文章などを書くことも同様の効果があると言われるのでおすすめです。
⑤感情を吐き出す
ある研究では、涙を流すことによりストレスホルモンが減少することが明らかにされています。また、嘘泣きや作り笑いでも脳が勘違いして、気分を高揚させるとも言います。泣ける映画や、おもしろ動画などを見て、泣いたり笑ったり感情を押し込めずに爆発させることで心をリフレッシュせることができるでしょう。
「メンブレ」は死語?
ある機関の調査によると、大学生は「メンブレ」をあまり使っていないという結果が出ています。言葉の移り変わりは早いので昨日のブームが明日には時代遅れになることもありますが、メンブレも流行る前から「死語」の仲間入りをしてしまったのか、少し考察してみます。
メンブレの浸透率が低い
メンブレを知っているか、大学生にアンケートをしたところ、圧倒的に支持を得ているわけではありませんでした。使わないと答えた大学生の意見としては「そもそも知らない」「初めて聞いた」というものもありあまり浸透しきってはいない様子です。
また「そんな言葉使わない」と言う否定的なものまであり、様々な意見の中「前は使っていた」と死語扱いする声も挙がりました。SNSで人気のある言葉ですが、一部の限定されたブームと言うのが実情の様です。
死語と流行語の境目
既に死語と化したものから日常に溶け込んだものまで、言葉は生まれては消えていきます。「今でしょ」は「ナウしか」に取って代わられ死語になりました。逆に昔流行った言葉が一周回って、死語が人気を集めることもあります。
「おたんこなす」や「許してちょんまげ」など、妖怪ウォッチやプリキュアで、所謂“お父さんお母さん世代”またはもうひとつ前の世代の流行語やギャグが取り入れられることもあり、一躍脚光を浴びた死語もあります。
「メンブレ」は精神が壊れ落ち込むこと
メンブレとは、SNS由来の言葉で、メンタルブレイクを省略した言葉でした。語源と言うものは特になく、大学生を中心に流行っているとされる一方で死語とも言われている言葉です。
軽く傷心を伝えるのが一般的な使い方で、ネタとしても使えるます。類義語には憂鬱など重い物から、メンホー、しょんどいなどがあります。メンブレには不幸を笑いに変えることのできる、とても使い勝手の良い言葉です。
これから徐々に浸透していき時代を象徴する若者言葉になる可能性を秘めているので覚えてさりげなく使いこなしていきましょう。