タラレバの意味
タラレバという言葉は一度は聞いたことがあるかもしれません。しかし、どんな意味でどのような使い方なのか、はっきりとわからない方もいるかもしれません。「タラレバ」とは、文語上ほぼ同じ意味の言葉を二つ以上の単語を結合して使う「連語」に該当します。タラレバは「タラ」と「レバ」が結合しているのです。
「タラレバ」の「タラ」は「もしもあの時~だったら」「ああだったらよかった」などのタラで。「レバ」は「あの時~すれば」のレバです。タラレバとはどんな意味でしょうか。
意味①事実とは無関係な過程の話
「タラレバ」の意味とは「もしも~していたら」「もし~すれば」などの「もしも話」が特徴です。事実とは無関係な仮定の話なのです。自身の行動が伴わずに、妄想の中でうまく行く方法を思案しているときに、タラレバの発想になりがちです。妄想に浸って解決に結びつかない時「タラレバ言ってる場合じゃないよ」などと叱られてしまいます。
意味②事実とは異なることを仮定してする後悔
もしも(あの時)~していたら(今頃はこうだったのに)、もし(あの時)~すれば(今の結果はああなったかも)と、タラレバの思考は過去を振り返って、別の行動を選択した時に得られた結果を想像していることも多いものです。タラレバは過去の後悔を含みます。しかし過去には戻れません。タラレバ言っても過去を変えることは出来ないのです。
タラレバの使い方と例文
最近は日常的にも耳にする「タラレバ」ですが、実際にタラレバを使って会話をしたことが無い方もいるかもしれません。二つの意味を重ねた連語のタラレバは、そのシーンや心情を、実はとても表現しやすい特徴もあります。タラレバの使い方は、実際にひとつの言葉としての「タラレバ」と、タラレバの意味を持つ「タラレバ話」を指す使い方があります。
それでは実際に会話の中での「タラレバ」の意味や使い方、その例文を、具体的にご紹介していきます。
恋愛に関する例文
恋愛に「タラレバ」は付き物です。タラレバは恋愛話に特に多い特徴があります。特に甘美な過去の恋愛については、タラレバ話は尽きないのではないでしょうか。例えば「あの時、あの娘と結婚していれば〜」「あの娘にあんなことを言わなければ〜」「もしあのタイミングで、あの娘にああ言っていれば〜」
過去を嘆いても仕方ありませんが、恋愛に置いて後悔が大きければ大きいほど、やはりタラレバ話が多くななる特徴があります。特に現状が幸せと思えない場合、過去の恋愛が輝いて見えるため、過去の選択を変えていたら幸せだったのかなと想像してしまうタラレバです。
東京タラレバ娘という作品もある
「東京タラレバ娘」という作品もあります。東村アキコさんの漫画が原作で、後にドラマにもなったのでご存知の方も多いのではないでしょうか。「あの時結婚していれば」「あの彼と付き合っていれば」とタラレバを繰り返して、気付いたらアラサーになっていたという娘達(30代独身女性)の奮闘が、コミカルでリアルに描かれている作品です。
「東京タラレバ娘」が同年代の似た特徴を持つ女性の心にヒットして、「タラレバの人生を止めよう」と思うきっかけになった人も多かったようです。一方で「タラレバ娘」「タラレバ女」「タラレバさん」など、タラレバを多く使う人を指す言葉も使われました。
「東京タラレバ娘」の大ヒットで「タラレバ」という言葉が流行り定着しました。タラレバ娘達は自分たちのタラレバの意味に気付き、タラレバ娘を脱するために、恋に仕事に行動していきます。「東京タラレバ娘」は今も多くの方に支持される作品です。
夢・将来に関する例文
夢や将来に対する不安や希望から、タラレバを活用する場合も多いものです。例えば、お店を出したい人がその資金に困っている時に「もしも誰かが資金をだしてくれたら、お店を開店できるのに」と、ありもしないスポンサーを当てにするタラレバを想像します。特徴としては、その対処法が思いつかずに現実逃避を兼ねていることを意味します。
将来アイドルになりたい娘が、何かの事情でオーディションに応募できない時など「もしもオーディションに行けたら、アイドルになれるのに」と、自分が行動できない現状を悲観して、タラレバで心慰めることもあります。特徴としては自己憐憫です。
ビジネスに関する例文
ビジネスでは、意思とは別にどうにもならない八方塞がりが多くありますので、タラレバが増える傾向があります。「あのコンペで負けなければ、今頃昇格していたのに」「あの時部長の意見を聞いていたら、取引先に迷惑をかけなかったかもしれない」など、些細な選択を悔やむことがビジネスでは多くあります。
また「あの部署に異動になったら、やりたい仕事だから今の100倍頑張れるのに」など異動になる前からそれをタラレバで語る事もあります。今の部署に不満があったり、不本意な仕事の場合、使い方によってはタラレバがモチベーションになることを意味します。
過去に関する例文
過去の出来事もタラレバ言いやすいものです。過去を悔やんで、ありもしないタラレバ話をしてしまいます。「あの時、別の人と結婚していれば」「あの頃、あのオファーを真剣に考えてていれば」「あの選択を別のほうにしていれば」と過去の後悔はたくさん出てきます。しかし過去は取り戻せません。タラレバしても仕方ない事なのです。
タラレバをタラレバで返す
タラレバ話に「タラレバ」で返す「タラレバ」の使い方をご紹介します。先に例文に挙げたタラレバ話に対して「いつまでタラレバ話をしてるの?」「タラレバ言ってないで行動するよ」「タラレバ言っても仕方ないよ」などと、タラレバで返して話を切り上げる使い方です。タラレバ話に付き合わず、しっかり現実と向き合おうと声がけする意味があります。
「タラレバ話」に陥る人は、行動に移せずに後悔や不満を口から発信し続ける特徴があります。タラレバも使い方によっては会話の切り口になります。タラレバ返しの上手な使い方をして、過去より未来を見つめるきっかけを作りましょう。
タラレバになりやすい人の特徴
これまでタラレバの言葉の意味について解説してきました。それでは実際にタラレバを多用する人や、タラレバ思考になりやすい人とはどんな特徴があるのでしょうか。タラレバは過去を悔やむネガティブなイメージがありますが、実際にタラレバになりやすい人はどんな性質を持っているのか、その特徴を詳しく解説していきます。
現状に不満を持っている
タラレバをよく使う人の特徴として、現状に不満を持っている人が挙げられます。現状を作り出した過去の選択が間違っていると思い、あの時こうだったら、あれをこうしていたらと想像してしまうのです。後悔が大きく嘆いてばかりとも言えます。タラレバばかりで現状に不満があると、現状の問題点を直視できないため、先に進まずに嘆くばかりの人生です。
他のものをうらやむ
周りをよく観察していることは良いことですが、そのことで自分と比較したり、自分の無い物ねだりをしたりして、他のものをうらやむ癖がある人も、タラレバが多い人です。他のものを羨ましいと思うことは、時に誰にでも起こりますが、羨むばかりのタラレバを言い続け、自分に向き合おうとしないのは、現実逃避にしかなりません。
自分に自信が無い
自分に自信が無い人も、過去の出来事についてタラレバ思考となりがちです。「あの時ああすれば、今はもっと違った結果になっていたのに」とか「もしこうしていれば、こんな結果じゃなかったのかな」など、戻れない過去について延々と悔やみます。うまく行かなかったことばかり考えているので、ますます自分に自信が持てなくなります。
後悔が多い
これまで述べてきたように、タラレバは後悔の意味が強く、後戻りできない過去の選択や行動をやり直したい気持ちが大きいのです。特に後悔が多い人生を歩んでいる方は、タラレバがを使用する頻度が多くなります。後悔ばかりで過去を引きずって生きていても、実は何も解決しません。タラレバの思考に早く気付いて現実と向き合いましょう。
タラレバな人にならない対処法
タラレバばかりだと、自分に向き合うことが出来ずに先に進めないのはお分かりいただけましたでしょうか。しかし自分がタラレバばかり言っていることに気付かないこともたくさんあります。タラレバな人になっていることに気付くことがまず大事な事です。そしてタラレバな人にならないための対処法を知って実践しましょう。
現状を肯定する
タラレバな人の対処法として、まず現状を肯定することから始めます。どんなに自分で不服の現状でも、それを作り出したのは自分自身です。しっかりと受け止め現状を肯定し、自分のタラレバの対処法を選択しましょう。まずはどんな現実でも肯定することです。目をそらさず、しっかり見つめましょう。
自分をしっかり持つ
タラレバの思考に陥りやすい人は、自分の主軸となる考えが曖昧で、他人の意見に流されがちです。このような人の対処法としては、まず他人に流されずに自分の意見を明確に持ちましょう。他人に流されていると、自己決定しないまま過ぎてしまうので「あの時ああすれば、こうしたら」とタラレバになりがちです。自分の対処法をしっかり身につけましょう。
口だけにならない
もしもああなら、あの時こうなら、と口先だけであれこれ言い続けているのは、タラレバの最たるところです。何もしないからタラレバになってしまったのですから、対処法として、まず言うより行動してみることを心がけてみましょう。慎重なのは悪いことではありませんが、勇気を持って少しの行動を心がけましょう。
特に普段から、引っ込み思案で行動に移せないタラレバな人にとって、行動することは有効な対処法です。口だけにならないよう一歩進んでみてください。
行動範囲を広げる
今の行動範囲より、少し行動範囲を広げることを意識的に行うことも、タラレバな人に有効な対処法です。行動範囲を広げると、見聞も広がります。視野が広がる事で見える景色も違ってきます。新しい経験や感動もあるでしょう。この対処法はビジネスの場でもとても有効です。タラレバから抜け出すだけでなく、自分を成長させる前進に繋がります。
人と良く話す
毎日同じ人達とお話ししていると、同じルーティンに陥りがちです。その中にタラレバが含まれると、毎日タラレバ話をすることになります。別の多くの人達とお話しする機会を持つことは、タラレバから脱する良い対処法です。様々な人と話すことによって、刺激を受けたり、新しい解決方法を知ったり、別の価値観に触れることが出来ます。
タラレバの英語表現
タラレバって、日本だけの文化ではないようです。やはり海外でも過去を悔やむ気持ちからのタラレバ話はよくあるのです。英語でタラレバの意味を持つのは「woulda」「coulda」「shoulda」の3つの言葉となります。あの時こうしていたら、あっちを選択していれば、という気持ちは世界共通です。
またこの3つの単語を「woulda,shoulda,coulda」と続けることで「タラレバ」を指します。「タラレバを止めなよ!」と英語で言う時は、「Dont talk about woulda,shoulda,coulda!」となり、タラレバ話が一瞬で終了します。
英語での例文
早速英語でのタラレバを例文を用いながらご紹介します。英語でのタラレバは「woulda、coulda、shoulda」の3つと先に述べましたが、これらは「would have」「could have」「should have」を、会話的に省略したものです。それぞれの意味と使い方を解説します。
couldaの意味と例文
「coulda」とは「could have」の略で、なにか物事をやれる環境にあることを意味します。文章にすると「I could have done that」若しくは「could have」を略して「I coulda done that」です。「could」は「can」の過去形なので「わたしはあれが出来たのにしなかった(やらなかった)」となります。それならできたかも、というタラレバです。
それでは例文です。「If you had played more actively,he could have won」日本語では「彼がもっと活発に動いていれば、試合に勝てていたかもしれない」となるタラレバ話です。
shouldaの意味と例文
couldaと同様に「shoulda」も「should have」の略です。shouldなので、couldよりもやや強く「やるべきだった」ことを意味します。「I should have done that」若しくは「should have」を略して「I shoulda done that」で「わたしはやるべきことをやらなかった」という意味です。すればよかったことを悔やむ言葉です。
それでは例文です。「I shouda brought an unbrella」日本語では「私は傘を持ってくるべきだった」となります。こんなことになるならこうすべきだったという、タラレバです。
wouldaの意味と例文
wouldaも同様に「would have」の略となります。wouldは、それまでのcouldやshouldよりも確信を持っている印象で「だったはず」という意味です。例文としては「If I had known your adress,I woulda written a letter to you」日本語で「もしあなたのアドレスを知ってたら手紙を送ったはずです」と、自分ならこうしたのにというタラレバです。
~だったらな・~していたらの表現の例文
他にも英語で「タラレバ」的な表現がいくつかありますのでご紹介します。「~だったらな」は英語で「wish」です。「I wish to stay by your side」は「あなたの傍にいれたらいいのにな」となり、ロマンチックな希望を伝える表現です。映画などにも出てきそうなセリフです。
「~していたら」もタラレバです。例えば「If i had time,I could go out with you」は日本語では「もしじかんがあれば、あなたと一緒にでかけられたのに」となります。残念な心情をタラレバで上手に表現しています。
タラレバは無意味な仮定や後悔を意味する言葉
タラレバの意味はお分かりいただけましたでしょうか。タラレバはネガティブなイメージが強いので、使いすぎると印象が下がってしまいます。タラレバは起こりえないことや、取り返しのつかない過去が「もしも変わったら」という想像の世界です。タラレバを言いたくなる時は少し我慢して、その時々の選択に自信を持ち、明るい未来を想像しましょう。