「担う」の意味とは?
「担う」という言葉にはどういった意味があるのでしょうか。「担う」という言葉の意味について紹介していきます。
「担う」という言葉は大きく分けると2つの意味を持っています。1つは「何か物を肩にのせてかつぐ」といった意味があります。もう1つは「肩にのせる」から転じた「責任をもって役割や物事を引き受ける」といった意味があります。
「担う」の類語・対義語
「担う」という言葉にはどんな類語や対義語があるのでしょうか。「担う」の対義語・類語について紹介していきます。
「担う」の類語には「担当する」「受けもつ」などがあります。「担う」の対義語については当てはまる言葉がないようです。
何かの事柄に責任を負うといった意味では「委任される」「任務などを任される」などが類語とて使われます。責任をとる立場になるといった意味からは「責任がある」「背負う」などが用いられます。
「担う」に近い意味の類語では「責任を負う」という言葉が「担う」に置き換えて使われることがあります。また「背負う」という類語は「面倒なことを背負った」「大変なことを背負った」などのようにどちらかというとネガティブな意味として使われる類語になります。
「担う」の使い方・例文
「担う」にはどんな使い方があるのでしょうか。「担う」を使う場合には物事や何かの役割を「担う」というような使われ方や役割以外を「担う」のような使い方をする場合があります。
役割に対して「担う」場合に使われる言い方として、「商品の仕分けを担う」「医療の現場を担う」のような具体的な役割を「担う」のような使い方があります。
役割以外や物事を「担う」のような使い方の場合には「時代を担う」「新しく会社を担う」などがあります。また、「担う」という言葉には「一翼を担う」「一端を担う」などのような慣用句もあります。
ここでは実際に「担う」の使い方についていくつか例文を紹介していきます。「担う」にはどんな使い方があるのか知りたい方は参考にしてみてください。
例文①
具体的な役割に対して「担う」を使う場合にはどういった文章があるのでしょうか。何か具体的な役割として「担う」を使った場合の例文について紹介します。
「たとえどんな状況であったとしても、自分が担う役割を見失ってはならない。」のように実際に起っている状況に対して「自分の役割を担う」などのよう使われることがあります。
例文②
何か物事を具体的に「担う」場合にはどういった文章があるのでしょうか。何か具体的に「担う」を使った例文について紹介します。
システム課の担当者が、システム開発だけなく営業も担うことによって、さらに顧客のニーズに合ったシステムを開発することができた。」のように具体的な物事や実際におかれている状況に対して「営業も担う」のように使うことがあります。
例文③
具体的ではなく大きな枠組みとして役割を「担う」場合にはどんな文章があるのでしょうか。具体的ではなく抽象的な役割を「担う」場合の例文について紹介します。
「これから始めようとしている案件について、あなたは重要な役割を担っているのでなんとか成功してほしい」のように大きな枠組みで抽象的な意味として「担う」を使うことがあります。
例文④
目の前の具体的な物事以外に「担う」を使うにはどういった文章があるのでしょうか。目の前の具体的な物事以外に「担う」を使う場合の例文について紹介します。
目の前の具体的な物事としてではなく、大きなヴィジョンとして物事を捉えて「担う」を使う場合に「日本の未来を担う子どもたちには既存の概念にとわられない柔軟な思考をもった大人に成長してほしい。」などのように具体的な物事以外の事に対して使うことがあります。
「担う」と「担ぐ」の意味の違い
「担う」と「担ぐ」にはどんな違いがあるのでしょうか。「担う」と「担ぐ」の違いについて紹介していきます。
「担う」に似た言葉で「担ぐ」という言葉があります。「担ぐ」は「担う」とは送りがなの違う言葉となり「担ぐ(かつぐ)」と読みます。「担う」と「担ぐ」は違った使い方や意味になる場合があります。
「担ぐ」は「人をまつり上げる」という意味がある
「担ぐ」は「肩に荷物をのせて支える」といったような「担う」と似た意味として使われることがあります。一方で「担ぐ」には「担う」とは異なった使い方をする場合があります。
「担ぐ」という言葉は、「誰か自分以外の人をあるポジションなどに役割としてまつりあげる」のように「人をまつりあげる」とした意味として使われることがあります。
「地区の役員決めで会長に担ぐ」「会社の支店長に担ぎあげる」などのように使われます。「縁起を担ぐ」「縁起を担ぐ」「御輿(みこし)を担ぐ」といったような意味として使う場合もあります。
また「担ぐ」には「人をからかって相手をだます」「一杯食わせる」などといった意味合いもあります。「担ぐ」には「担う」の意味とは違った使い方もあるので使い分けるようにしましょう。
「担う」を使う際の注意点
「担う」を使う際にはどんな注意点があるのでしょうか。「担う」は使い方によっては相手がこころよく感じない場合があります。
ビジネスの場や目上の人などに使う場合には「担う」を類語などに言い換えて使ったほうが良い場合があります。ここでは「担う」という言葉を使う際に注意する点などについて紹介していきますので参考にしてみてください。
敬語の意味として使う場合は「担う」以外に置き換える
「担う」を使う際に相手によって使い方に気を付けたほうがいい場合などがあります。自己紹介などで相手に「今度御社を担うことになりました」や役員を決める場合などに「会長を担ってもらえませか」とはあまり使われていません。
何となく相手への敬意に欠けた言い方に感じてしまいます。ビジネスの場において自己紹介をする場面や目上やあまり面識のない相手と会話するような状況で敬語を使うことが必要になる場合には「担当になる」「務める」のような「担う」の類語に置き換えて使います。
「務める」には「役割にたいして受けもつ」、「担当になる」「担当する」は「自分の仕事として引き受ける」などの意味として置き換えて使うことができます。
自分自身のことを話す場合には「務めております」「担当しております」のような使い方をします。「しております」は丁寧語となり、目上の人にも謙譲語として使うことができます。
「担う」の由来・歴史
「担う」という言葉にはどんな由来や歴史があるのでしょうか。ここでは「担う」という言葉がどんな成り立ちからできたのかについて紹介していきます。「担」という文字の成り立ちなどに興味のある方は参考にしてみてください。
由来
「担う」という言葉にはどんな由来があるのでしょうか。「担う」の「担」という文字は「5本指の手」の象形と「太陽に地平線を示している横線を加えた文字」が由来となり「あげる」「かかげる」などを意味する「担」という漢字が成り立っています。
「担」を訓読みし、送りがなをつけて「にな(う)」「かつ(ぐ)」のようになり使われるようになった言葉です。
歴史
「担う」という言葉にはどんな歴史があるのでしょうか。「担う」の「担」という文字は会意兼形声文字と呼ばれる文字になります。
会意兼形声文字とは会意文字(2文字以上の漢字の形、意味を組み合わせて作られている漢字)と形声文字(意味を表す漢字と音読みを表す漢字を組み合わせてできた漢字)からなる文字です。
「担」は以前は「擔」という字で使われていました。「擔」は「担う」の旧字(常用漢字外)となり「担」が一般に使われるようになりました。「担」は「擔」の略字となっています。
「担う」の英語表記
「担う」を英語表記で表すにはどんな英語表現になるのでしょうか。「担う」を英語で表現する場合には「play a role」「take on a role」のような英語で表すことができます。
「role」とは「役割」を意味している言葉になるので「役割を果たす」「役割をもつ」のような意味となります。
また「bear burden」というフレーズも「負担(重荷)や心配を背負う」「負担(重荷)や心配を引き受ける」のような意味をもつ言葉として「担う」の英語表現の一つとして使うことができます。
「bear」は「身につける」「出産する」「もつ」などをはじめ複数の意味をもつ言葉になっています。「burden」も「荷物」や「負担」「重荷」といったような多くの意味を兼ねています。
「担う」は「肩に物をのせてかつぐ」「役割を引き受ける」という意味
ここまでは「担う」の意味や使い方、類語・対義語の有無、例文や成り立ち、英語表記などについて紹介してきました。
「担う」とは「肩に物をのせてかつぐ」「自分の責任で役割を引き受ける」「何かある物事を支えて推し進める」などのような意味を持つ言葉です。
一般的には「~を担う」「~に対しての役割を担う」などのような使い方をされています。「担う」は対義語となる言葉は見当たらないのですが、類語では「担当する」「責任を負う」などに置き換えられることも多い言葉になっています。
「担う」は慣用句では「一旦を担う」「一翼を担う」などの使い方があります。「担う」には色々な意味や使い方がありますので「担う」を使う際には使い分けしてみてはいかがでしょうか。