「趣味趣向」と「趣味嗜好」の意味は?
あなたは「趣味趣向」と「趣味嗜好」という2つの言葉を知っていますか?「趣味趣向」と「趣味嗜好」はどういった読み方をするのでしょうか?また類語にはどういったものがあるのでしょうか?さらにビジネスなどで英語を使う場合に、どう英語で表現したらいいのでしょうか?
「趣味趣向」と「趣味嗜好」の意味について、今までわかったようでいてわからないでいたのではないでしょうか?これを機会に、「趣味趣向」と「趣味嗜好」の意味を知り、類語や英語表現なども覚えていきましょう。あなたの表現能力が上がることでしょう。
「趣味趣向」と「趣味嗜好」の読み方
まず「趣味趣向」と「趣味嗜好」の読み方について見ていきましょう。「趣味趣向」は「しゅみしゅこう」という読み方をします。いっぽうで「趣味嗜好」は「しゅみしこう」という読み方をします。読み方が非常によく似た単語ですが、この言葉にはどういう意味があるのでしょうか?
まず、「趣味趣向」と「趣味嗜好」の2つの言葉の中に、「趣味」という同じ言葉が入っています。「趣味」とはどういう意味なのでしょうか?まず1つ目は、仕事や職業ではなく、個人が楽しみとしているものや事柄です。例文は「趣味は読書です」「私は多趣味です」といったものです。
2つ目の「趣味」の意味は、どういったものに美しさや楽しさを感じるかという、その人の感覚や感覚のあり方です。好みの傾向と言ってもいいでしょう。「あれは少女趣味だ」「趣味の悪い衣装だ」といった例文があります。
3つ目の「趣味」の意味は、物事が持っているあじわいや、おもむき、情緒といったものです。「このさびた風合いが、またかえって趣味がある」という例文があります。このような意味のある「趣味」に「趣向」と「嗜好」がつながるとどういう意味になるのでしょうか?
「趣味趣向」の意味
まず「趣味趣向」の意味を見ていきましょう。「趣味趣向」とは趣味全体の雰囲気や趣味の方向性、趣味とその工夫という意味があります。「趣味」とは好みというものではなく、習慣的に好んで行っているものを指します。そうした趣味の方針や工夫や雰囲気が「趣向」の意味になります。
習慣的に好んでやっていることが「趣味」です。好んでやっていくうちに、やることが次第に定着していきます。「趣向」は敬語にすると「御趣向」です。目上の人に「趣向が素晴らしいですね」と言うと軽い感じになってしまいます。
「御趣向が素晴らしいですね」というと、失礼になりません。この「御趣向」は「おしゅこう」という読み方なのか「ごしゅこう」という読み方なのか迷うのではないでしょうか?「御趣向」の読み方は「ごしゅこう」が正解です。「おしゅこう」と言わないようにしましょう。
「趣味嗜好」の意味
次に「趣味嗜好」を見ていきましょう。「趣味嗜好」は個人的に好きなことや、たしなんでいることを意味します。「嗜好」の「嗜」とは「たしなむ」という意味です。「酒をたしなむ」「ギターをたしなむ」といった使い方をします。嗜好は飲食物を指すことが多いです。
「たしなむ」は芸事についても使い方ができます。「嗜好」の「嗜む」は「たしなむ」という読み方になります。「芸事に打ち込んで習得する」という意味になります。「好」は「すき」や「このみ」といった読み方です。
「何かに心をひかれること」「何かを積極的に選ぶ」という意味になります。「嗜好」は「嗜む」を「好み」で強調しています。「芸事や飲食に親しんで、心から好むこと」という意味の言葉になります。
「趣味趣向」と「趣味嗜好」の類語
非常によく似た読み方の「趣味趣向」と「趣味嗜好」の意味について見てきました。次に、「趣味趣向」と「趣味嗜好」の類語について見ていきましょう。類語の意味を知ると類語の使い方がわかってきます。「趣味趣向」と「趣味嗜好」それぞれの類語を挙げてみました。
「趣味趣向」の類語①好き好み
「趣味趣向」の類語の1つ目は、「好き好み」です。「好き好み」の読み方は「すきこのみ」です。意味は、「何かを好む傾向」です。「好き好む」の名詞形です。使い方としては「わざわざ好き好んで、苦労をする者はいない」といった打ち消しの語を使って用いることが多いです。
「趣味趣向」の類語②偏愛
「趣味趣向」の類語の2つ目は、「偏愛」です。「偏愛」の読み方は「へんあい」になります。意味は、「ある特定の人や物だけを愛すること」というものです。「かたよった愛情」という意味でもあります。
使い方としては「長男を偏愛する」というものがあります。没頭してしまい、他のことが見えなくなってしまった経験はありませんか?そうした他のものは捨て置いて夢中になることを指します。
「趣味嗜好」の類語①好み
「趣味嗜好」の類語の1つ目は、「好み」です。「好み」の読み方は「このみ」です。「よしみ」と読む場合は意味が変わってきます。意味は「好むこと」というものです。使い方としては「人によって好みは違う」や「それは好みに合う」といったものがあります。
「趣味嗜好」の類語②こだわり
「趣味嗜好」の類語の2つ目は、「こだわり」です。「こだわり」の意味は「こだわること」や「特別の思い入れ」といった意味があります。「拘泥する」という意味もあります。使い方は「素材にはこだわりがあります」「こだわりの逸品」というものがります。
「趣味趣向」と「趣味嗜好」の使い方・例文
ここまで「趣味趣向」と「趣味嗜好」の意味や類語を見てきました。「趣味趣向」と「趣味嗜好」は類語にも同じような意味がありました。類語などの意味がわかったところで、「趣味趣向」と「趣味嗜好」の具体的な使い方を、例文を挙げて見ていきましょう。
例文①趣味趣向が一致する
「趣味趣向」の使い方の1つ目の例文は「彼とは趣味趣向が一致するから、一緒にいて楽しいです」というものです。「趣向」が重なる人同士なら、お互いに自然と気持ちが通じ合うということがわかります。趣味の全般的な雰囲気や方向性を現したい時に使います。
例文②趣味趣向の変化が激しい
「趣味趣向」の使い方の2つ目の例文は、「彼女は会うたびにガラリと雰囲気が変わります。服装の趣味趣向の変化も激しいです」というものです。この場合、趣味が何かを具体的に特定する必要はありません。大まかな輪郭といった意味で使うことができるのが「趣味趣向」です。
例文③趣味嗜好が一致していた
「趣味嗜好」の使い方の例文の1つ目は「彼とは趣味嗜好が一致していたはずなのに、見解が分かれて議論になってしまった」というものです。「趣味嗜好」の場合、具体的な好みについて言い表したい場合が多いです。「趣味趣向」は大まかな輪郭で使うので、使い方に違いが出てきます。
例文④趣味嗜好が変化している
「趣味嗜好」の使い方の例文の2つ目は、「最近歳のせいか、落ち着いたものを好むように、趣味嗜好が変化している気がする」というものです。この場合も「趣味趣向」と違い、「趣味嗜好」は具体的な好みについて表現しています。「趣味趣向」とは違った使い方になります。
「趣味趣向」と「趣味嗜好」の違い
ここまで「趣味趣向」と「趣味嗜好」の使い方と例文をそれぞれ見てきました。ここまで見てきて、「趣味趣向」の意味と「趣味嗜好」の意味が微妙に違うことに気づいているでしょうか?「趣味趣向」と「趣味嗜好」の意味は違います。ではどのように違うのでしょうか?
まず「趣味趣向」とは趣味の雰囲気や方向性を意味します。いっぽうで、趣味嗜好は個人的に好きなこと全般を意味します。どちらも「好み」を意味します。具体的に例を挙げてみましょう。たとえばテニスが趣味だったとします。
テニスといってもゲームを見るのが好きなのか、自分でするのが好きなのかなど分類できます。趣味がテニスでも具体的になになにをする、というのが「趣味趣向」です。いっぽうで「趣味嗜好」は「趣味嗜好は歌を歌うことです」といった自分の好みを現します。
「趣向品」と「嗜好品」のどちらが誤用?
「趣味趣向」と「趣味嗜好」の違いである「趣向」と「嗜好」の意味の違いについて少し見ていきましょう。「趣向品」と「嗜好品」という2つの言葉は、発音が似ているので同じだと考えていないでしょうか?しかし「嗜好品」が正しくて「趣向品」は誤用です。
「嗜好」は「たしなむこと」であり「特にものを好むこと」です。主に飲食物について使われ、栄養摂取が目的ではなく、砂糖を多く含んでいるお菓子類が挙げられます。アイスクリーム、チョコレート、スナック菓子などです。またカフェインを多く含んでいる飲み物も挙げられます。
紅茶、緑茶、コーヒー、酒、ビール、炭酸飲料などです。さらにニコチンを含んでいたり香りを楽しむことを目的にしているタバコも嗜好品となります。操作することで体感的に楽しむことができるものも「嗜好品」です。自動車、バイク、カメラといったものも「嗜好品」です。
「趣向」と「趣旨」の違い
もう1つ、似たような言葉の意味の違いについて見ていきましょう。それは「趣向」と「趣旨」の違いです。「趣旨」は読み方は「しゅし」です。意味としては、「話や文章で言おうとしていること」や「物事の中心となる内容」です。さらに「あることをする目的や理由」の意味もあります。
行動や計画の目的の意味もあり、何のための話だったり文章だったりを伝えたいのかという気持ちが込められています。「趣向」の意味は「おもむきやおもしろみを出す工夫」です。「趣旨」は「あることをする理由やねらい」「話の中で伝えたい肝心なこと」の意味です。
このように、2つの言葉の意味が違うことがわかるでしょう。「趣旨」の例文を挙げてみましょう。「質問の趣旨がわかりません」といったものがあります。「これからこの企画の趣旨を説明します」というものもあります。
「趣向」と「嗜好」の由来
ここまで、「趣味趣向」と「趣味嗜好」の意味の違いと「趣向」と「嗜好」の意味についてみてきました。「趣味趣向」と「趣味嗜好」の意味の違いの核となる、「趣向」と「嗜好」という言葉の、由来はどんなものがあるのでしょうか?詳しく見ていきましょう。
「趣向」の由来
まず「趣向」の由来について見ていきましょう。「趣向」とは「趣」と「向」の2つの字から成っています。「趣」の意味は、「そのものが感じさせる風情」や「全体から感じさせる様子や有様」といったものがあります。
いっぽうで「向」は「ある方向をむいて進行する」や「むかう方向」といった意味があります。この2つの漢字が合わさって、「趣向」になりました。こうして「趣向」は、「おもむき」や「工夫」といった意味になりました。
「嗜好品」は森鴎外が由来
次に「嗜好」について見ていきましょう。ここでは「嗜好品」という言葉の由来を見ていきます。「嗜好品」という言葉は、比較的新しい言葉です。1912年の雑誌「太陽」に掲載された、森鴎外の小説「藤棚」の中に出てきたのが最初です。
この小説の中で、森鴎外は「嗜好品」を、人生において必要ではあるけれども、毒になるものも多いと著しています。「嗜好」という言葉がある中国では「嗜好品」というカテゴリーはありません。韓国語では「嗜好品」という言葉はありますが、日本語の借用語のようなものです。
「趣味趣向」と「趣味嗜好」の英語表記
ここまで「趣味趣向」と「趣味嗜好」の由来をみてきました。「趣味趣向」と「趣味嗜好」には意味に違いがあります。英語表現をする場合、「趣味趣向」を表わす英語と、「趣味嗜好」を表わす英語は当然変わってきます。キーポイントは「趣向」と「嗜好」の違いです。
「趣味趣向」の英語表記
まず「趣味趣向」を英語で何と言うのでしょうか?「趣味趣向」は英語にすると「hobby」や「interests」です。「趣味趣向」は自分の趣味の方向性やジャンルのことを指します。ただ、実際に例文にすると、その他に「taste」も使われます。例文を挙げてみましょう。
「同様の趣味趣向を持つ」を英語にすると「having similar disposition and taste.」といったものです。また「ユーザーの趣味趣向に関する情報を収集する」を英語にすると「to collect user infomation on the hobby, taste, or the like of a user.」といったものです。
「趣味嗜好」の英語表記
次に「趣味嗜好」の英語表現について見ていきましょう。「趣味嗜好」は直訳すると「hobbies and preferences」や「taste」です。「趣味嗜好」は特別に趣味として好んで行っているものや、そのことに親しむことです。「趣味嗜好」の英語を例文を挙げて見ていきましょう。
まず「趣味嗜好には理由がない」は「There is no accounting for taste.」という英語になります。また「ユーザー情報には体型、顔、趣味嗜好などの情報が含まれています」の英語は「The user infomation includes type of physique, habit and taste of the user.」となります。
「趣味趣向」とは趣味の方向性「趣味嗜好」とは個人的に好きなことの意味
「趣味趣向」と「趣味嗜好」は非常に似た読み方であり、使われている漢字も似ているので、同じような意味だと捉える人が多いです。しかし「趣味趣向」は趣味全体の雰囲気や方向性を表わすものです。
いっぽうで「趣味嗜好」は個人的に好きなことです。例文を見ていくと、この2つの言葉の違いも理解できるのではないでしょうか?「趣味趣向」と「趣味嗜好」の意味の違いを理解し、正しく使い分けていきましょう。