初彼岸の意味やすべきことを紹介
毎年迎えるお彼岸は日本古来の風習として、現在も春と秋に行われています。そもそも彼岸は、雑節の一つとして季節の移り変わり目を表す特別な暦日です。春分と秋分をそれぞれ中日として前後3日を合わせた計7日間、一年で計14日間を指しています。
今回は、お彼岸の中でも「初彼岸」にスポットを当てていきます。というのも「初彼岸」は、お彼岸との違いがあまり知られていないのが現状だからです。「初彼岸」の意味、時期、すべきこと、マナーを順を追ってご紹介。いざ「初彼岸」を迎えても安心できるので覚えておいて損はありません。
初彼岸とは
では一年に2回訪れるお彼岸の中でも「初彼岸」はどんな意味を持つのでしょうか?あまり馴染みが無いために1年で訪れる毎年はじめの彼岸を「初彼岸」であると勘違いしてしまいがちです。
以下に「初彼岸」の意味と時期を詳しく紹介していきます。「初彼岸」は誰もが一生涯に経験する事柄なので、この機会にしっかり確認していきましょう。
初彼岸の意味
「初彼岸」とは故人が亡くなって初めて迎えるお彼岸を意味しています。ということは普通のお彼岸が年に2回、3月の春と9日の秋に7日間ずつ行われることに対し、最初の1回目だけを指すお彼岸ということになります。
ただ「初彼岸」を取り行うには、日本の仏教の古くからの慣習上、故人が亡くなった日からある程度の期間を置かなければなりません。
上記の点からいつ「初彼岸」を取り行うことができるのか?以下より具体的に「初彼岸」を行う時期をご紹介いたします。
初彼岸の時期
「初彼岸」は人が亡くなって四十九日が過ぎた後に初めて取り行うことができます。四十九日は仏教の世界において生と死を繰り返す中陰と呼ばれる期間で、遺族は故人が無事に極楽浄土に行けるように供養する期間と見なされています。
そして四十九日目に故人の冥福を祈る追善法要をとり行い、遺族は忌中を終えることになります。つまり故人が亡くなり四十九日目の忌中が過ぎても、まだ1年間の喪中でありますが、その喪中に迎える彼岸が「初彼岸」に当たることになります。
では故人が亡くなった時期が彼岸に近い場合はどうなるのでしょうか?例として彼岸の期日を上げれば分かりやすいです。
例えば春分の日が3月20日、秋分の日が9月22日とすると、彼岸の入りの3月17日から彼岸明けの3月23日までが春彼岸の期間、彼岸の入りの9月19日から彼岸明けの9月25日までが秋彼岸の期間と言うことになります。
故人がこの期間の彼岸の入りから遡って四十九日以内に亡くなった場合は、次の彼岸の入りが「初彼岸」となります。
つまり、故人が亡くなった日から、四十九日経たず彼岸の入りの3月17日を迎える場合には、次の9月19日が「初彼岸」、四十九日経たず彼岸の入りの9月19日を迎える場合には、翌年の春分の彼岸の入りが「初彼岸」と言うことになります。
初彼岸ですべきこと
ではいざ「初彼岸」を迎えた場合、すべきことは何でしょうか?毎年迎えるお彼岸は春分の日、秋分の日の中日の前後に御墓参りをしますが、「初彼岸」は何か特別なことをするのでしょうか?下記にて紹介いたしますので実際に「初彼岸」を迎える際参考にしてみてください。
特別な法要は必要ない
「初彼岸」だからと言って特別な法要などをする必要はありません。というのは「初彼岸」に到るまで、しっかりと法要をしているからです。
先述したように故人が亡くなって四十九日までの間は、死者の魂は成仏しておらず、この世のどこかにさまよっているというのが仏教の考え方です。
そして四十九日の追善供養で、死者の冥福を祈り極楽浄土に行けるという仏教の考えから、「初彼岸」は故人はすでにあの世に成仏し仏となった状態で迎える初めてのお彼岸ということになります。
お墓参り・仏壇を拝む
「初彼岸」ですべきことと言えば、まずはお墓参りが挙げられます。「初彼岸」のお墓参りも、毎年お彼岸で迎える際のお墓参りもすべきことに違いはありません。
ただ、「初彼岸」は故人が亡くなって初めて迎えるお彼岸です。無事に極楽浄土で安らかに暮らしてもらえるように供養するためにも、行ける状況であればなるべく行く事が望ましいとされています。
お墓参りは、お寺への挨拶、お墓の掃除、お墓へのお供え、お線香を挙げて合掌、後片付けの順番でとり行いましょう。
お墓参りが終わった後に、親戚一同が集まる場が設けられることや実家に帰省することも想定できます。その際は仏壇をお参りして元気でやっている事を報告しましょう。
仏壇のお参りも「初彼岸」だからと言って特別な法則はありません。ただ手土産をお供えする場合は故人の好きなものの他、お菓子などの日持ちのするものや、季節の果物なら初物を供えるようにしましょう。
お寺で行われる彼岸会に参加
「初彼岸」はお墓参りや仏壇へのお参りだけではなく、地域によっては彼岸会が行われる場合があります。
彼岸会はお彼岸法要とも呼ばれ、お寺の本堂で先祖を供養し、仏さまを祀るために行われる法要を意味しています。お寺の檀家やお寺の墓地にお墓を所有している人が揃って参加する合同法要です。
この彼岸会にはお布施が必要になります。このお布施はあらかじめハガキなどで案内される場合が多い場合もありますが、事前連絡がない場合は3,000円から10,000円ほどが相場になりますのでお知り置きください。
また余談ですが、彼岸会は故人の自宅にお寺の僧侶が赴き、個別で法要する場合もあります。彼岸会のあり方も様々で一様ではありません。
初彼岸のマナー
「初彼岸」にお参りする際に気をつけるべきマナーはどこにあるでしょうか?服装やお供え物などは普段行なっているお彼岸とイメージは変わりありません。
ただ香典や「初彼岸」のお返しなどの相場は、マナーから逸脱しないようにあらかじめ知って置きたいポイントです。
いずれ迎える「初彼岸」の作法を抜かりなくすれば、参加者全員にとって円満な想い出につながります。以下で早速紹介していきます。
初彼岸の服装
まずが「初彼岸」の服装です。「初彼岸」だからと言って礼服にする必要はなく、一般的な平服、普通の服装で問題ありません。
ただ、あまりに華美な服装ですと来客の場合の印象が良くないので、落ち着いた色合いの服装を心がけましょう。
また、お墓参りや仏壇へのお参りの場合は上記の場合で結構ですが、彼岸会などの法要の場合は平服ではマナー違反になりますので、礼服を着て行くようにしましょう。
初彼岸のお供え物・香典の相場
「初彼岸」を迎える際、お供え物はどのような物になるのでしょうか?無難なものとしてはお菓子や線香、故人が好きだったものがあげられます。
特にお墓参りのお供え物は、食べ物を供える場合、屋外の場合が多いので日持ちの良いものを供えるようにしましょう。
また、知人のお通夜やご葬儀に参加できなかった方が「初彼岸」に参加する事も想定されます。その際に親族に渡すものが香典です。
香典の相場は地域にもよりますが、3,000円から5,000円位と言われています。知人や親しい方の「初彼岸」の機会の際、香典を渡す事が今後ある場合に参考にしていただければ幸いです。
初彼岸のお返し
「初彼岸」でお供えしてもらったお返しは、初盆とは違い、しなくても良いというのが一般的な考え方です。「初彼岸」で顔を合わせる人はごく親しい人同士なので、返さなくても失礼には当たらないという考え方です。
ただ、相手との今後のお付き合いの事を考えたり、お礼を表現したいという気持ちから、お返しする事も間違った行為ではありません。
お返しをする場合の相場はお供えしてもらった金額、品物の半分から3分の1程度が相場になります。例えば5,000円の香典のお返しとしては、2,000円から3,000円になります。
初彼岸は通常のお彼岸と同じで問題ない!
いかがだったでしょうか?「初彼岸」の意味、時期、すべきこと、マナーを順を追ってご紹介してきました。
結局「初彼岸」は通常のお彼岸と同じで問題はないと考えてもらって構いません。ただ初めてのお彼岸という事もあり、可能なかぎり参加する事が望ましいのと、香典の相場がどのくらいか、または知人へのお返しの必要性はぜひ知ってほしいポイントです。
大切な「初彼岸」を有意義で想い出深いものにするために、今回の記事をぜひお役に立ててもらえれば幸いです。