漢字検定の正式名称を知っていますか?
以前からよく耳にする言葉に「英検」もしくは「英語検定」という言葉があります。高校生や大学生などが「英検〇級を受ける」とか「英検〇級を取った」などと言います。
この英検の正式名称は「実用英語技能検定」です。この検定試験の歴史は古く1963年に文部省の後援を受けて第1回の検定が実施されました。大学や専門学校などで英検の上級資格が単位認定されたり資格試験がこの英検取得者には免除されたりとなかなかの効力を持つ検定試験です。
「英検」の他に「漢検」もしくは「漢字検定」という検定試験もあります。この漢字検定の歴史も英語検定ほどではありませんがなかなかに古く第1回の開始は1975年です。最近高校、短大、大学などで単位認定などに使われて、よく知られるようになり受験者数は英検を上回っています。
この漢字検定の正式名称や実施要領や試験内容、就職などにどんな効力を持つ資格なのか、またこの資格を履歴書に書く時の注意事項などをご案内いたします。
漢字検定とは
漢字検定とは上に申し上げた通り1975年に始められた漢字の読み、書き、使い方の知識を問う検定試験です。1992年より文部省が認定する資格となりましたが、その後文部科学省の認定制度が廃止されて文部科学省後援となり、さらに後の不祥事のために後援も取り消されています。
現在は小学生から高齢者まで290万人くらいの人が受験するよく知られた検定試験となっています。この漢字検定の主催者や正式名称、また等級、日程、検定会場、出題内容、審査基準、漢字検定の資格の効能などについて解説いたします。
日本漢字能力検定協会が主催する検定試験
漢字検定の主催者は日本漢字能力検定協会という公益財団法人です。この日本漢字能力検定協会が創立されたのは1992年です。この協会の主な事業内容としては漢字検定の実施、漢字検定に関連した問題集その他の教材の出版、BJTビジネス日本語能力テスト、文章読解・作成能力検定の実施があります。
さらに漢字文化の調査研究や普及のための活動も行っており、漢字資料館、漢検漢字博物館・図書館の設立と運営、毎年末恒例の「今年の漢字」の募集・決定もこの協会が行っています。
正式名称は「日本漢字能力検定」
いわゆる漢検もしくは漢字検定の正式名称は「日本漢字能力検定」です。この正式名称を正しい形で知っている人はあまり多くありません。
漢字検体の主催者の日本漢字能力検定協会自身が出版している漢字検定関係の出版物にもこの正式名称は使われておらず「漢検問題集」とか「漢字検定対策」などという非正式名称が使われています。
正式名称「日本漢字能力検定」の実施要領
正式名称「日本漢字能力検定」すなわち漢字検定はどのように実施されるのか、設けられている等級、実施される日程と検査会場、また漢字検定の出題内容や審査基準はどうなっているのか、などについて解説いたします。
漢字検定に設けられている等級
漢字検定に設けられている等級の上位前半は、1級:大学・一般レベル(対象漢字は約6000字)、準1級:大学・一般レベル(対象漢字は約3000字)、2級:高校卒業・大学・一般レベル、準2級:高校在学レベル、3級:中学校卒業レベル、4級:中学校在学レベルです。
後半は、5級:小学校6年生終了レベル、6級:小学校5年生終了レベル、7級:小学校4年生終了レベル、8級:小学校3年生終了レベル、9級:小学校2年生終了レベル、10級:小学校1年生終了レベルです。1級から10級まで全部で12の等級が設けられています。
漢字検定の日程と検査会場
漢字検定の個人受験の日程は年に3回設けられています。6月と10月と1月または2月の日曜日です。2020年度は第1回が6月21日(日)(コロナウィルスのために中止)、第2回が10月28日(日)、第3回が2021年2月14日(日)となっています。
検定会場は個人受験の場合、全国の主要都市の124か所に設けられている公開会場で受験します。受験申込の際に希望の地区を指定することができますが、希望の検定会場まで指定することはできません。
漢字検定の出題内容と合格基準
漢字検定の出題内容は、漢字の読みと書き取り、筆順と画数、部首と部首の名前、送り仮名、対義語と類義語、同音と同訓の異字、3字熟語と4字熟語、熟語の構成、誤字の訂正、故事と諺などに渉っています。
合格基準は1級と準1級と2級が200点満点の80%程度です。準2級と3級、4級、5級、6級、7級は200点満点の70%程度です。8級、9級、10級は150点満点の80%程度です。
漢字検定の資格の効能
漢字検定の上位の等級を取得した場合、それは資格としてどのような効能を持つことになるのかという点について解説いたします。
グローバル化の下でビジネス界でも英語の能力が特に高く評価される傾向があり、英検やTOEICなどの上級の資格は就職や大学入試に大いに効果を発揮していることは周知の事実です。
しかし漢字検定の上位の資格も就職や大学入試の場面でなかなか大きな効能を発揮しているのです。最近ではあちこちの大学で漢字検定の資格が単位認定の対象になったり、入試の際の特技の一つに加えられています。
また会社の就職の際にも日本語を使う能力の証として重要視する企業も多くなっています。特に出版関係や印刷関係、またジャーナリズム関係の企業では漢字検定の資格が大きな効能を発揮しています。
履歴書への漢字検定の書き方
この章では履歴書に漢字検定で取得した資格を書く時の書き方について解説いたします。漢字検定の上位の級は就職の際に十分高く評価されますから履歴書には書くべきです。書くには正しい書き方をしなければなりません。正しい書き方をするために注意すべきことを挙げて行きます。
履歴書への正しい書き方を身に着けるためには、先ずそもそも履歴書というものは何のために提出するのかという履歴書の目的を知っておく必要があります。履歴書は採用者側に応募者のステータスのすべての情報を提供するものです。従って学歴や職歴、資格を正しい書き方で書くべきです。
就職試験を受けるときの第一段階に書類選考というステップがあります。ここで選考対象となる書類が履歴書です。採用担当者は応募者が提出した履歴書を丁寧に検討します。応募者の経歴やスキルばかりでなく正しい書き方ができる能力を持っているかも審査の対象になります。
免許・資格欄に記載
漢字検定には先に申し上げた通り1級から準1級、2級、準2級、3級~10級まで全部で12の等級が設けられています。漢字検定を受けて取得したこれらの等級は資格になります。上位の等級は就職の際に十分高く評価されるので履歴書に取得した等級は書いておくべきです。
市販の履歴書の用紙に黒のボールペンか万年筆で自筆で書くのが正しい書き方です。履歴書の用紙には氏名、生年月日、現住所、電話番号、Email、連絡先、学歴、職歴、免許・資格、志望の動機、趣味・特技、最寄り駅、家族、本人の希望(給料など)の欄が設けられています。
履歴書のこれらの欄の内、漢字検定で取得した等級は「免許・資格」の欄に書くべきです。うっかり趣味・特技などの欄に書いてしまうと本人の社会常識を疑われることになり選考には不利な結果となってしまいます。履歴書の免許・資格欄に書くのが正しい書き方です。
正式名称で書く
上に漢字検定で取得した等級は履歴書の免許・資格の欄に書くのが正しい書き方ですと申しました。その免許・資格欄に書く時の書き方について大事な注意事項があります。
一般にいろいろな検定は正式名称よりも略式名称の方がよく知られています。例えば英検とか英語検定がよく使われていますがこれは正式名称ではありません。英検の正式名称は「実用英語技能検定」です。もし英検の等級を履歴書に書くならこの正式名称を書くのが正しい書き方です。
これと同じく漢検や漢字検定という言い方が一般に通用していますが、これは正式名称ではなく略式名称です。漢字検定の正式名称は「日本漢字能力検定」です。履歴書に漢字検定ので取得した等級を書くなら、履歴書の免許・資格欄に正式名称「日本漢字能力検定」を書くのが正しい書き方です。
複数の資格を書くならどの資格についても正式名称を使って書くのが正しい書き方です。さらに学歴や職歴欄の記入も正式名称を使って書くのが正しい書き方です。
書き方例
漢字検定で取得した等級を履歴書に書くなら免許・資格の欄に正式名称「日本漢字能力検定」を使って書くのが正しい書き方ですと申しました。そしてこの正式名称と共にその等級を取得した正しい取得年月日も書いておくべきです。この日付は合格証に書かれている日付です。
そこで漢字検定で取得した等級の履歴書への正しい書き方の記入例をお目にかけます。例えば平成20年6月に漢字検定の2級に合格した場合は「平成20年6月 日本漢字能力検定2級合格」あるいは「2017年6月 日本漢字能力検定2級合格」と書くのが正しい書き方の記入例です。
取得年は以前は和暦が原則でしたが、現在は西暦で書いても和暦でかいても構いません。また複数の資格を併記するなら取得年月の早い順に並べて書くのが原則です。しかし履歴書を提出する企業に特に役立つ資格なら、それが目立つように順番を変えて最初に書くのも構いません。
正式名称で書かないとどうなる?
履歴書に漢字検定で取得した等級を資格として書く場合に、もし正式名称の「日本漢字能力検定」を使わず、「漢字検定2級合格」などと書いてしまったらどうなるでしょうか?
履歴書は応募先の企業に提出する公式の文書です。募集している企業側は先ず始めの書類選考の段階では応募者に関する情報の一切をこの履歴書から読み取らなければなりません。従って書類選考の担当者は履歴書を丹念に検討して応募者についての手がかりを探します。
応募者の能力、性格、人柄、就職に臨む姿勢などを履歴書から読み取ろうとするわけです。もし履歴書に漢字検定の正式名称が書かれていなければ、先ず応募者の社会常識の欠如が疑われます。
履歴書の正しい書き方も知らないと思われてしまいます。また単に知識の乏しさだけではなく、その応募者の就職に対する真剣さも疑われてしまいます。この人はこの会社に本当に就職したいと思っていないのではないか、という疑いを抱かれてしまいます。
履歴書に漢字検定は何級から書ける?
前に漢字検定の上位の等級を取得していたら、それは資格として高く評価されるので履歴書に書くべきであること、またその際の正しい書き方などをご説明いたしました。しかし上位の級と言っても一体何級くらいがそれに当たるのかという点を以下にご説明いたします。
履歴書に書けるのは2級以上
漢字検定には全部で12の等級が設けられています。1級は大学・一般程度(対象漢字は6000字)、準1級は大学・一般程度(対象漢字は3000字)、2級は高校卒業・大学・一般程度(対象漢字は2136字)です。
以下は準2級(高校在学程度)から3級(中学校卒業程度)~10級(小学校1年生終了程度)です。このうち履歴書に書いて有利になるのは2級以上と言われています。
なぜ2級からなのか?
漢字検定で取得した等級を履歴書に書いて有利になるのは2級以上ですと申しました。その理由は、漢字検定2級の合格基準が「常用漢字のすべてを読んで書き活用できるレベル」となっているからです。
常用漢字とは文部科学省が社会人の常識として知っておくべき漢字として指定した2136字です。これをマスターしていれば社会に出て仕事をするのに支障がない、と認められるのです。
3級以下の記載は逆効果?
上に漢字検定の2級以上の資格は履歴書に書くべきであると申しました。では3級以下の資格は履歴書に書くべきなのかどうかと言うと、結論は書かない方が良いということです。
なぜなら漢字検定3級のレベルは中学校卒業程度(対象漢字数:1607字)とされていて、常用漢字すべてを含んでいないからです。3級の資格は社会人としての常識のレベルに達していないと評価されて書くと逆効果になる恐れもあります。
漢字検定の取得日がわからない場合は?
先に漢字検定で取得した等級を履歴書に書く場合は取得年月と正式名称を使って、例えば「平成20年6月 日本漢字能力検定1級合格」と言う風に書くのが正しい書き方です、と申しました。
取得年月を書かないと手落ちになりますが、もし漢字検定の等級の取得年月がわからない場合にはどうしたらよいでしょうか?以下にこの場合の対策について解説いたします。
合格証に書かれている日付を書く
漢字検定の等級を履歴書に書く場合にはその等級を取得した年月を併記すべきなのですが、その取得した年月がわからない場合の対策の第1は「合格証に書かれている日付を書く」です。日本漢字能力検定協会が発行する合格証書には、末尾に証書を発行した年月日が書かれています。
取得年度がわかれば対応表で確認
漢字検定の等級を履歴書に書く際に、その等級を取得した年月がわからない場合の対策の第2として、取得年度だけがわかっている場合には、日本漢字能力検定協会が公表している対応表が頼りになります。これで合格証書一覧表が見られますので取得年月日が確認できます。
合格証がなく取得年度もわかならい場合は?
漢字検定の等級を履歴書に書く時、その等級を取得した年月がわからない場合の第3として、合格証書もなく取得年度もわからない場合にはどうしたらよいでしょうか?
その場合には漢字検定の主催者の日本漢字能力検定協会に問い合わせをすればよいのです。問い合わせると漢検協会から合格者情報を教えてもらうことができます。さらに有料になりますが合格証書を再発行してもらうこともできます。
履歴書には正しい取得日と漢字検定の正式名称を書こう!
漢字検定の正式名称は「日本漢字能力検定」です。これには1級から10級まで準1級と準2級も含めて12の等級が設けられています。このうち1級、準1級、2級までは漢字能力の上級資格と認められています。
漢字検定の2級以上の資格は大学の入試や就職にも十分に効力を発揮する資格なので履歴書にも記載すべきです。履歴書に書く場合には漢字検定の正式名称を書くべきであることなど、履歴書への正しい書き方と漢字検定についての詳細を解説いたしましたので、参考になさって下さい。