ワルナスビはどうやって駆除する?
ワルナスビは高い繁殖力を持った山野草で一度定着すると駆除をするのに一苦労してしまいます。ワルナスビの山野草としての特徴を解説し、ワルナスビの見た目の特徴を併せて紹介します。
ワルナスビがなぜ悪い茄子なのかの理由を紹介し、駆除方法を除草剤の有無にわけて注意点と併せて紹介します。ワルナスビが蔓延ってしまったことによって起こる影響も解説します。
ワルナスビの駆除方法を除草剤を使う/使わない方法に分けてそれぞれのメリットと注意点を紹介しますので目的にあった駆除方法を試してみて下さい。
ワルナスビの生態
ワルナスビは他のナス科の成長を妨げたり、作物に被害を与えたり、毒を持っていたりと悪い茄子だからワルナスビと名付けられました。ワルナスビは外来種ですが意図して国内に持ち込まれたのではありません。
輸入された牧草の中に混入され、その牧草を食べた家畜のフンに混ざり飼料を作る畑の肥料として使われたことにより全国に拡散していきました。現在では日本の至る所に繁殖している山野草となっています。ワルナスビの生態的な特徴をここでは紹介します。
ワルナスビの生態①ナス科の山野草
ワルナスビはナス科の山野草で現在では日本に留まらず世界中の至る所に分布しています。ワルナスビは多年草となっており、地下茎が有る限りそこから新たな芽が出て繁殖してしまう強い生命力と繁殖力が特徴の山野草です。
ワルナスビ全体にソラニンを含み毒性があります。葉や茎にトゲがありますので駆除するにも一苦労します。またナス科の植物となっていますので、茄子やトマトなどの同じ科の植物が連作障害で育たなくなるという事まで起ってしまいます。
ワルナスビの名の通り悪い茄子と言えます。それは英語名からもわかるのですがワルナスビは英語で「Apple of Sodom」(ソドムのりんご)や「Devil‘s tomato」(悪魔のトマト)と呼ばれており、英語圏でも同じ認識の山野草だという事が言えます。
ワルナスビの原産地は北アメリカのカロライナ地方となっておりラテン語表記の学名「Sonalum carolinense」は「北米カロライナ地方のナス属」という意味を持っています。
ワルナスビの生態②外来種
ワルナスビは日本全国に広く分布する外来種の山野草となっています。外来種として侵入した時代は古く、明治時代まで遡ります。輸入された牧草にワルナスビが混入し、知らず知らずのうちにワルナスビが広がっていきました。
ワルナスビが与える影響は大きく、在来種との生存競合が起こり、ワルナスビの繁殖が在来種を駆逐してしまう為、在来種の作物不良の原因になってしまいます。
また牧草地にも繁殖する為、トゲによって家畜の採食性を低下させてしまったり、ワルナスビに含まれる毒で中毒を起こすこともあります。ワルナスビは外来種の山野草として、外来生物法によって要注意外来生物に指定されている山野草となっています。
ワルナスビ以外の在来種
ワルナスビ以外にも生態系に影響を及ぼすとされる外来種はたくさんあります。植物で代表的な物はミズヒマワリやオオフサモなどが挙げられます。
動物や水生動物ではアライグマやマングース、ナイルパーチなどが挙げられます。どの動植物も在来種よりも強い繁殖力を持ち、短期間で在来種を含む生態系の構図を一変させてしまう為、国から特定外来種として指定されてます。
記憶に新しい外来種の論争を挙げれば滋賀県におけるブラックバスの捕獲や定置網、釣ったブラックバスのリリースの禁止などがあります。
外国から意図・無意図を関係なく動植物に罪はありませんので心が傷みますが固有の生態系を守っていくためには仕方がない事なのでしょうか?これからも議論が勧められていく問題となりそうです。
山野草は野生植物のみを指す用語の様に思われがちですが、ワルナスビの様に自生する山野草から自生している山野草を品種改良して鑑賞価値が高まったものも山野草として取り扱われる事があります。日本においては近代的な山野草の歴史は浅く、明確な定義は確立されていません。
極端に言うと山野草は全ての野生植物が山野草というカテゴリーに含む事ができます。元は自生していただけに丈夫な品種が多く、栽培も容易な品種が山野草にはたくさんあります。
山野草としては有害と言われるワルナスビも生花や観賞用として眺める分には美しい外観で癒しをもたらしてくれますので造園や造形の観点で見れば有害な植物とは言い切れません。
ワルナスビの特徴
農業にも畜産業にも悪影響を及ぼす山野草のワルナスビですが、咲かせる花は茄子と同じ様な特徴を持つ白い花をつけます。見た目には何が悪いのかわからなくなってしまうワルナスビの特徴をそれぞれに分けて解説します。
ワルナスビの特徴①葉や茎に棘がある
ワルナスビは葉や茎に鋭い刺があります。それは同じナス科の茄子でも言えることですが、茄子の葉や、とれたての茄子のへたには鋭い刺が生えています。しかしワルナスビの刺の多さは茄子と比べ物にならないくらいびっしりと生えています。
ワルナスビの特徴②橙黄色に
ワルナスビは花が咲いた後、受粉すると特徴的な橙黄色の実が結実します。パッと見は食べられそうな感じがしますがソラニンという毒性の物質を含んでいますので食べてはいけません。
ソラニンはじゃがいもの新芽に含まれる毒と同じで神経に作用する中毒を引き起こします。大量摂取した場合は死に至ります。
実には当然種が含まれており、ワルナスビの山野草としての特徴である強い繁殖力に寄与しています。ワルナスビを発見した時には茄子に似た花を付けますが出来れば花を付ける前に抜き取ってしまうことでワルナスビが広範囲に広がることを防ぐことに繋がります。
ワルナスビの特徴③実や花
ワルナスビは特徴的な白く可愛らしい花を付けます。茄子の花と変わらない様に見えますが毒やトゲを含めて人間に有益なことは何もありません。ワルナスビに罪はありませんが可憐な花に騙されてうっかり自宅の庭に侵入されるとあっという間に繁殖して駆除するのが大変になります。
ワルナスビの花言葉
ワルナスビは花を咲かせますので花言葉もあります。ワルナスビの花言葉は「欺瞞」と「悪戯」です。「欺瞞」の花言葉はワルナスビの特徴である茄子やじゃがいもに似た花を付けるのに毒のある実を付けるところから付けられています。
「悪戯」の花言葉はワルナスビの可愛らしい特徴的な花を咲かせるのにも関わらず葉や茎に鋭い刺を持つことから付けられた花言葉となっています。どちらの花言葉もワルナスビの生態的な特徴を的確に捉えた花言葉です。
可愛い花が咲いているからといって放っておくとあっという間に強い繁殖力で庭に強烈な「悪戯」をしていくところなどは花言葉のままの特徴となっています。
茄子の花言葉
ワルナスビに対して、ナスの花言葉は「つつましい幸福」「真実」となっており、ワルナスビと反対の花言葉を持っています。人間都合で申し訳なく感じますが言葉自体が人の物ですので仕方がないのかもしれません。
諺としても「親の小言と茄子の花は千に一つの無駄もない」という諺にも表現されている様に花が咲けば茄子が結実する事にひっかけた「つつましい幸せ」の花言葉となっています。
茄子の縁起
他にも縁起の良い初夢としても「一富士・二鷹・三茄子」と言われる様に茄子は古くから縁起物として担がれてきました。
茄子が初夢の縁起物として言われる由縁は「なす」の韻にあり「ことをなす」から「全ての物事が上手くいく」という意味と茄子が花を付けた時には実が高い確率でなる特徴から子孫繁栄の意味があると言われています。
ちなみに「一富士」は富士の韻「フジ」を「不死」と言い換え不老長寿の願掛けの意味を持ち「二鷹」は富士山に住む鷹が「高く飛ぶ」「高貴である」ということを引っ掛けて出世に通じる意味を持っています。
ワルナスビが悪い茄子の理由
ワルナスビが人間にとって悪い茄子である理由はこれまで説明してきた通りですが、ワルナスビの繁殖力・葉や茎のトゲ・ワルナスビ全体に含まれる毒の3点をより詳細に深掘りし、ワルナスビがなぜ悪い茄子であるかの理由を解説します。
ワルナスビの繁殖力
ワルナスビの繁殖方法は二つあります。まず一つ目は地下茎を張り巡らし繁殖します。他の雑草と同じ様に見えている茎の部分を抜いても地下茎が残っているとそこからさらにワルナスビの新芽が生えて増殖してしまいます。
ワルナスビを抜いたと思っても土の中に1cm未満の地下茎の断片が残っているだけでもそこから新たなワルナスビが再生されるという繁殖力を持っています。ワルナスビの特徴である繁殖力の強さは根絶する事が難しい生態的な仕組みにあります。
二つ目の繁殖方法ですが、すでにワルナスビは花が咲いた後に実を結実させると説明しました。ワルナスビの実の中にももちろん種が入っています。
どの植物も共通しますが、種子は条件が揃うと発芽しますのでうっかり結実したワルナスビの実が庭に侵入したと考えただけで恐ろしくなります。
ワルナスビの種子の寿命は100年を超えても発芽する様ですのでワルナスビの花に気がついた時には実が結実する前に刈り取りましょう。
消化管を通っても高い発芽率
家畜飼料に混じったワルナスビの種子は家畜の消化管を通っても高い発芽率を誇ります。あらゆる発芽を防ぐ方法を持ってしてもワルナスビの発芽と繁殖を抑える劇的な方法は見つかっていません。
やはり地道に刈り取りをする事とワルナスビの生長が拡大する前にワルナスビを駆除していく事がワルナスビを蔓延させない為の人にできる限られた方法になるのかもしれません。
ワルナスビの地下茎の役割
ワルナスビの地下茎は縦横無尽に根を張ると解説しましたが、縦と横に張る根は役割を分担していると言われています。縦に伸びる根には栄養を個体内に貯める役割を持っています。
横に張る根には繁殖の役割を持つとされており、ここにもワルナスビの繁殖力の強さの理由が垣間見えるメカニズムが組み込まれている事に驚かされます。
ワルナスビの鋭いトゲ
ワルナスビは葉や茎にびっしりと鋭いトゲが生えています。草むしりをする時に軍手をしても突き抜けて刺さるほどのトゲが生えており、除草にも苦労してしまいます。
これはワルナスビが牧草地に紛れた時にも悪影響を及ぼします。牧草の中に鋭いトゲが生えたワルナスビがたくさん混じってしまうとトゲを嫌がり家畜が草を食べなくなってしまいます。
すぐには影響が出ないかもしれませんが、長期的に見ると牧草の食いが悪くなると言う事は乳や肉の減産に繋がり、家畜がしたフンにもワルナスビの実や根が含まれているとそこからさらに繁殖してしまう悪循環にはまってしまいます。
薔薇にもトゲがあるが
植物で刺といえば薔薇を思い浮かべますが、薔薇の刺に毒性はなく腫れたとしても化膿が原因で腫れている事がほとんどです。
ワルナスビにも刺があり、毒があると紹介していますので不安になる人もいるかもしれませんがワルナスビは毒性があるものの、触れただけでかぶれたり、腫れたりする事はありませんので安心して下さい。
植物にトゲがある理由
刺のある植物は自分の身を守るためだけに刺が存在していると考えられていますが、植物に刺がある理由は水分の蒸発を防ぐ事を目的に存在しています。
それ以外にも植物自身が生殖に対応できる状況になるまで他の生き物に種子を含む果実を食べられない様にするする役割を持っていると考えられています。
刺として真っ先に思い浮かぶのが刺に囲まれたイガグリの存在ではないでしょうか?クリの実が熟して弾けると私たち人間には食べられてしまいます。
しかし、まだ成熟が未熟な段階で他の虫に食べられてはクリの生物としての目的である「生息域を広げる」という目的を果たせない為、時期が来るまで刺によって身を守るという進化をしてきたのではないかと考えられています。
ワルナスビは実を含め植物全体に毒
ワルナスビにはソラニンという毒物が含まれており、少々摂取したくらいでは毒による被害は起こりませんが、大量に摂取した場合は危険です。
現在の調査では家畜に対してワルナスビの量を調整した飼料を与えても大きな差はないとの結果が出ています。ワルナスビの混合量を増やすと食べる量は減る傾向があると報告されていますが、毒性よりもワルナスビに生えているトゲの影響が大きいと考えられています。
ソラニンによる食中毒は?
ワルナスビに含まれるソラニンはじゃがいもの芽やかわに含まれるアルカロイド性の毒物で、少量摂取した分には大きな健康被害はありません。しかし多量にソラニンを摂取した場合は吐き気や腹痛、頭痛などの中毒症状を引き起こす事が確認されています。
ソラニン中毒の特徴としては大人には食中毒被害が少なく、子供の被害が多くあるという事です。これはじゃがいもの皮を剥かずに食べたり、過剰にソラニンを食べてしまう事が原因と考えられています。
ソラニン以外にも自然毒はいっぱいある
ワルナスビに含まれるソラニン以外にも自然毒はあらゆる動植物に含まれています。有名な自然毒はフグに含まれているテトロドトキシンではないでしょうか?
フグを調理する際には自治体による取り扱いの届出と認証が必要で、フグ調理の免許が義務付けられています。他にも植物性ではニラとの誤食が多いスイセンにはアルカイド系のリコリンが含まれています。
キノコ狩りでも食べられるキノコと誤認して食中毒になってしまう例は枚挙にいとまがありません。特にキノコは見分けが付きにくく、食べてから毒キノコだったという例が後を立ちません。
自然毒が疑われる植物や魚類などは安易に口にせず、安全だという確証を得てから食べる様にすると自然毒による食中毒は未然に防ぐ事ができます。
ワルナスビの駆除方法①除草剤を使用
ワルナスビが自宅の庭に侵入した場合に有効な駆除方法があります。それは除草剤を使用する事です。ワルナスビは強い繁殖力を持っていますので根絶しようとするのであれば除草剤の使用をおすすめします。
ワルナスビの除草剤の選び方
ワルナスビを根絶するのにおすすめの除草剤の選び方はワルナスビの根の特徴に合わせたタイプの除草剤を選ぶ事がワルナスビ根絶のポイントとなります。
ワルナスビの根は縦横に深く、広く広がっていく厄介な特徴を持っていますので葉から吸収して根っこまで枯らすタイプの除草剤がおすすめです。
広い範囲がワルナスビに侵入されている場合は時間がかかるかもしれませんが、徐々に範囲を狭めていく意識で除草剤を使用する様に心がけましょう。
除草剤の種類
除草剤には大きく分けて顆粒タイプ・希釈する液体タイプと2つの種類に分ける事ができます。顆粒タイプの除草剤は対象になる場所に撒くだけで徐々に薬効が効き始め、長期間雑草の生長を防いでくれます。
希釈するタイプの除草剤は広範囲に撒く事ができますが、枯らしたい雑草以外の植物も枯らしてしまう可能性が高まります。それぞれ逆の面がデメリットなってしまいますのでワルナスビが生長している状況によって除草剤を使い分ける様にすると良いでしょう。
ワルナスビの除草後
ワルナスビの除草が終わった様に見えても先ほど説明した様に1cm未満の地下茎のかけらが残っているとそこからワルナスビは新芽を出して再生します。
除草後もワルナスビが生えてくる可能性がありますので生えていた場所を定期的にチェックし、新芽が出ていたら大きくなる前に抜く様にしましょう。
気を抜くとあっという間に元の状態に戻ってしまうほどの繁殖力がワルナスビにはありますので実は除草後の定期的なチェックが一番重要なポイントになるかもしれません。
ワルナスビの駆除方法②除草剤を使用しない
「ワルナスビを除草するのに除草剤を使いたくない」という人にも有効なワルナスビの除草方法があります。ワルナスビのニッチを奪う様な除草方法なので除草剤を使うよりも時間はかかってしまいます。
しかし、除草剤の影響を他の植物に与える事がありませんので安心な駆除方法と言えます。スーダングラスを栽培するワルナスビの駆逐方法のメリットとメカニズム、スーダングラスが生長した後に再利用する方法を紹介します。
スーダングラスを栽培
除草剤を使わないワルナスビの除草方法とはスーダングラスを植える事です。スーダングラスはイネ科の植物でワルナスビよりも繁殖力が強くワルナスビの生長する場所を徐々にスーダングラスに奪われていき、ワルナスビは駆除されていきます。
さらにスーダングラスは背が高くなる特徴があり、ワルナスビは高い植物に囲まれると生長が抑制されるという特徴と合わせて有効にワルナスビの繁殖を遅める効果があります。
動植物におけるニッチとは?
生き物の世界では同じ環境に違う種類の動物が生存する事はありません。「ニッチ」とは「隙間」のことを意味しています。
ビジネス用語としては大企業がビジネスとしてターゲットにしない小さな市場の事を指しますが、動植物の世界でニッチという言葉を使う時にはある種の生き物が生存する環境を指します。
ワルナスビとスーダングラスの例で言えばワルナスビが生長するのに良い環境をスーダングラスが奪うことによってワルナスビが同じ場所で生きていけなくなり、最終的には駆逐されてしまいます。
他にもわかりやすい例えを挙げると川魚であるヤマメとイワナは同じ水域で生息していますが、イワナはヤマメよりも冷たい水を好み最上流域をイワナが占有し、水温がやや上がる点を起点にヤマメが生息域を占有します。
スーダングラスを利用したワルナスビの駆除はこの「ニッチ」の法則に基づいて考え出された駆除方法と言えます。
スーダングラスは干し草としても使える
あまり利用する人はいないかもしれませんが、生長したスーダングラスは干し草として使う事ができます。ウサギを飼っている人であれば自家製の干し草をあげる事ができますので、ワルナスビの駆除と合わせて一石二鳥な使い方をスーダングラスを用いた駆除法ではできます。
自家製の干し草を作るコツ
ウサギやモルモットなど干し草を利用するペットを買っている方に自家製の干し草を作るコツを紹介します。生長したスーダングラスをただ放っておいただけではうまく水分が蒸発せずに、最悪の場合草が腐ってしまいます。
干し草を作るときは天気が続く日を狙って刈り取ったスーダングラスを天日干しし、一日ごとに刈り取った草をひっくり返す事を繰り返し、完全に乾燥するまでこの工程を繰り返す様にすると刈り取ったスーダングラスを腐らせる事なく干し草を作る事ができます。
ワルナスビを駆除する際の注意点
ワルナスビを駆除する上での注意点を紹介します。悪ナスビのトゲ対策と耕うんがワルナスビの繁殖を助けてしまう可能性がありますのでそれぞれ注意するべき点を解説します。先にも解説した通り地下茎が少しでも残っているとそこからワルナスビは再繁殖してしまいます。
ワルナスビのトゲ対策をしっかりする
ここまで紹介してきた様にワルナスビには葉や茎に鋭い刺が無数に生えていますので注意が必要です。ワルナスビのトゲは軍手を重ねても突き通してしまうほど鋭く長い刺となっています。
ワルナスビを抜く時には刺が刺さらないように気をつけることも大切ですが、ワルナスビに触れた時に怪我をしないように長袖長ズボンで作業をするなどの対策が必要です。
ワルナスビの繁殖の原因とは
ワルナスビの除草後に土の中に残ったワルナスビの根を掘り出して文字通り根絶やしにしてしまおうと耕うんしない様にしましょう。
耕うんとは土を耕すことを言います。ワルナスビの根が残っているとまたワルナスビが芽を出す原因となってしまいますが、耕うんすることによってワルナスビの根が細かく切られ、拡散してしまう恐れがありますので注意が必要です。
耕うんの本来の目的は?
耕うんは作物を作る上で重要な作業となっています。植物の種や苗を植え付けする前に土の表層と深層を混ぜ返し、反転させる事で土壌へ空気や水の透過がはやくなり植物の生長を促します。
他にも固くなった土を耕うんする事で細かく砕き作物の根が伸びやすい環境を整える目的があります。他にも耕うんは除草剤の耐性のついた雑草を根絶するには最適の方法となっています。
しかし、地下茎が僅かでも残っていると再生してしまうワルナスビには当てはまりません。ワルナスビを根絶する目的の場合は耕うんする事は控え、生えてきた新芽を根から抜き取る様にワルナスビを刈り取ることをおすすめします。
ワルナスビの繁殖
ワルナスビが茄子と似た花を付けても茄子の様に美味しく食べられる事はありませんし、人間にとって利益はありません。ワルナスビが繁殖してどの様な影響があるかを野菜の障害・家畜の採食性の低下に分けてそれぞれ解説します。
生態系への影響
ワルナスビは名前の通りナス科の植物です。植物には連作障害と言って同じ科に属する作物を続けて植えると病気になりやすくなったり、収穫量が低下する現象のことを言います。私たちがよく目にする茄子も当然ナス科の植物ですが茄子以外にもナス科の野菜はたくさんあります。
意外と思われるかもしれませんがじゃがいもやトマトもナス科に属し、茄子の仲間となっています。ワルナスビが蔓延っている土では上記の様な茄子をはじめとしたナス科の野菜が育たなくなってしまいます。
他にもナス科の植物はたくさん
ナス科の植物は先にも紹介したじゃがいもやトマト以外にもたくさんあります。トウガラシやタバコ、チョウセンアサガオやホオズキ、ペチュニアなどがナス科に属しています。
ワルアサガオが蔓延している土壌には上記の様なナス科の植物が上手く育たない為、ワルアサガオを駆除する事は重要な課題となっています。
ワルナスビが外来種として侵入してきた経路は解説した通り牧草に混入して日本にやってきました。牧草を食べる家畜は乳牛や肉牛などがあり、家畜の採食性を低下させてしまいます。
ワルナスビが少々混じっている程度では採食性の低下はありませんが、ワルナスビの比率が高まっていくと悪ナスビの刺を家畜が嫌がり採食性が落ちてしまう様です。
中毒死する場合も
少量ではワルナスビは致死量になりませんが食べた量によっては中毒死してしまう危険があります。死に至らなくても運動失調や痙攣、昏睡状態を引き起こす可能性がありますのでワルナスビは注意が必要な植物となっています。
家畜において中毒症状が甚大な被害をもたらさなかったとしても、震えや精神不安定を引き起こし、仔牛では水腫や腹の膨らみと体重減少が報告されており、成牛においても黄疸などの肝機能障害の兆しが現れると言われています。
ワルナスビの駆除方法を試してみよう!
ワルナスビは可憐な花を付け、茄子と同じ見た目でありながらその名前の通り悪影響がたくさんある外来種の山野草です。
自宅の庭でワルナスビが生長しているのを見つけたら早いうちに駆除する事が一番の対策です。先延ばしにするとワルナスビの強い繁殖力であっという間にワルナスビだらけの庭になってしまいます。
家庭菜園を庭でしている方は除草剤の使用を躊躇ってしまうかと考えられますが、スーダングラスの栽培を試してみてはいかがでしょうか?
ワルナスビを駆除する際の注意点である刺対策と除草後の耕うんをしない様にして地道にワルナスビの生育範囲を狭めていきましょう。